※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。
マモル「先輩、時間が足りません!1日24時間じゃ、とても足りないんですが、どうすればいいでしょうか?」
ショウ「おいおい、いきなりどうしたんだよ。この前まではマイペースで余裕があったのに、顧客が倍増でもしたのか?」
マモル「いえ。売り上げは変わっていません。変わっていないからこそ、工夫が必要だと痛感しまして、自己研鑽の時間も設けているんです」
ショウ「おお、自分への投資が始まったか。いい方向に進んでいるんじゃないのか?」
マモル「ただ、あの、営業する時間もありますし、プレゼンのための資料作成もあります。ネットで配信している会社のSNS関係の更新。それに帳簿の管理もあります。他の経営者がどんなことを考え、行動しているのか参考にしたいと思って、そういったセミナーにも参加しようと計画しているんです。すると、まったく時間が足りません」
ショウ「睡眠時間は確保できているのか?」
マモル「……5時間くらい寝ているくらいでしょうか」
ショウ「平均睡眠時間が7時間未満を2週間続けると、2日間徹夜した人と同じパフォーマンスしか発揮できなくなるんだ」
マモル「そ、そうなんですか?確かに少し脳の動きが鈍くなってる気がしていました」
ショウ「やることが多いからといって、マルチタスクばかりこなしていてもダメだ。人の脳は同時に二つ以上の作業をすると、生産性が40%ほど低下するからな」
マモル「40%も下がるんですか?僕は、次の作業の事を考えながら、今の仕事しているから集中できなくて完成度が低いのか……どうしたらいいんでしょうか?」
ショウ「うちの会社の顧問税理士からいいアドバイスを聞いたよ」
マモル「顧問税理士ですか?」
ショウ「経営学者のピーター・ドラッカー氏の話なんだが、誰か知ってるか?」
マモル「ええ。高校野球部のマネジャーがドラッカーさんのマネジメントを読んだら、みたいな書籍がありましたよね」
ショウ「そう、そのドラッカー氏の言葉で、『成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは集中である。成果をあげる人は、最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない』というものがある」
マモル「一度に一つのことしかしない」
ショウ「そのためには優先順位をつけることが大切だろう。特に企業にとって最も重要なのは、経営者の時間だよ。経営者は、今一番大切なことは何か、把握しておく必要がある。そしてそこに集中すべきなんだ」
マモル「優先順位が低いものはどうすればいいんですか?」
ショウ「思い切ってやらないという選択肢もある。どんなに優れた人も、一度にいくつものことはできないからな。仕事であれば、人に振るという方法もあるぞ」
マモル「でも僕はひとりですからね……人に振ると言われても」
ショウ「そこが、マモルの今後の最大の課題かもしれないな。ひとりだと仕事を振ることもできない。すると、重要ではない業務によって忙殺されてしまって、本当に重要なことに集中できなくなる」
マモル「ひとりだから自由に何とかなると考えていましたが、より高い目標を目指すことになると、この状況だと難しいんですね」
ショウ「逆に、経営者のマモルが、優先順位の高いところに集中できるようになれば、業績は今まで以上になるってことだぞ。社員を増やして、組織を大きくすることだけじゃなく。顧問税理士のように外部の協力を受ける選択肢もあるからな。専門職の人たちのアドバイスは貴重だし、やるべきことを正確にこなしてくれるぞ。そうすることで、経営者としての時間も確保できるようになる」
「そうかー。確かに将来のことを考えると、コストよりも時間の方が重要ですね。ひとりでやろうという考え方に固執するのはもうやめにします!」