※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。
マモル「先輩、僕の会社でもついに人手を増やすことを決めました!」
ショウ「おお、そうか! 社員を雇うことにしたのか?」
マモル「いえ、そこまでは…… 自分だけなら充分なんですけど、社員に支払う給与分まで安定した収益はあげられていないんで」
ショウ「どういうこと?」
マモル「電話秘書をお願いしようかと」
ショウ「ああ、電話代行サービスを導入するってことか」
マモル「ええ、でも先輩、アウトソーサーではありますが、社員が増えた感じです。戻りの時間を伝えてくれるような外出対応もしてくれますし、スケジュール管理もしてくれるんです。クレーム処理までやってくれるんですよ。これって充分、秘書ですね」
ショウ「ひとりで経営していると、電話対応に時間を割くのも難しいからな。会社を大きくしていく第一歩としては、いいんじゃないか」
マモル「良かった。先輩に賛成してもらえると、やってみようかなって気になります」
ショウ「なんだ、まだ始めてないのか?」
マモル「候補はいくつかに絞ってはいるんですが、いろいろ確認しなくちゃならない点もありますし、タイミングも微妙なので、秋口ぐらいから始めようかと」
ショウ「だって、現状で必要性を感じてるんだろ? なんで先延ばしにするんだい?」
マモル「他にもいろいろやることがあるんで、忙しくて、どうしても後回しになっちゃって……」
ショウ「いいことなら早くやった方が、その分だけ大きな成果に繋がるだろ? 自分を動かすのは意思の力だよ。成果を出す経営者は、自分の意思で素早く決断して行動することができるなんだ。ここが大きな差になるんだよ。明日でも何とかなるとは考えない方がいい」
マモル「それは、そうなんですけど……」
ショウ「アメリカの社会学者で、チャールズ・ホートン・クーリー氏がこんな話をしているよ。『明日はなんとかなる、と思うのは馬鹿者だ。今日でさえ遅すぎる。昨日のうちにすませてしまっているのが賢者だ』とね」
マモル「それって、明日やろうは馬鹿野郎、と似ていますね」
ショウ「これから先、マモルが会社を大きくしていくのなら、正式に社員を雇うことになるだろう。すると、経営者は社員を動かすことが仕事になる。その時に大事になるのは、他人を動かす前に、まず自分が動く習慣だよ」
マモル「率先して自分が動く必要があるんですか?」
ショウ「そう。自分を律するのもそうだし、強い意思の力で行動力を示すのもそう。まずは経営者からさ。人を変える前に、自分が変わる必要があるからね。それがセルフ・リーダーシップというものさ。これが周囲にいる社員にとても良い影響を及ぼし、組織は活性化されるんだ」
マモル「でしたら、社員を雇う前に、この先延ばしの癖を直すことが先なんですね」
ショウ「まずは、作業興奮を利用するのがいいぞ」
マモル「作業興奮? 何ですそれ?」
ショウ「始めは嫌々でも、勉強を始めてみると、少しずつエンジンがかかってどんどん進めたっていう経験があるだろ?」
マモル「ええ。掃除もそうですね。やり始めると止まらなくなることがあります」
ショウ「それは、脳の側坐核が刺激されてドーパミンが分泌されているからだよ。5分、10分だけでいいから、その大事だと思う業務をとりあえずやってみることで、作業興奮が起こる。やる気は起こるのを待っていたんじゃダメさ。やる気は自分で起こすものだからね」
マモル「いいと思ったことは、明日でもいいって考えるんじゃなくて、まずは、すぐに行動に移してみることが大事なんですね」
ショウ「それを繰り返していくことで、いいと思ったことはすぐに行動に移すことが習慣になっていくよ。お互いに、行動力溢れる経営者を目指していくこう!」