※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『これからの時代のリーダーの仕事』になります。
ショウ「なんだ、もう社員旅行に行ってきたのか?」
マモル「ええ、善は急げっていいますからね。流氷は壮大でしたよー。物凄く寒かったですが」
ショウ「北海道旅行かあ? いいなあ」
マモル「塩ラーメンも絶品でしたよ。この通り、先輩にお土産も買ってきました」
ショウ「北海道っていったら味噌ラーメンだろ? まあいいや、ありがとう。それよりずいぶん気分転換できたようだが、目的は達成できたのか?」
マモル「従業員の悩みを少しでも軽減して、モチベーションを高めることですよね。できたんじゃないかと思っています」
ショウ「凄いな。本当に手ごたえがあったんだ。慰労をかねた社員旅行だろ? そんな雰囲気で従業員が悩みを話すとは信じられなかったが……」
マモル「いや、実は…… こんな劣等感を感じているんですが、どうすれば解消できますか? とか、もっと自己成長したいんですが、どうすればいいんでしょうか? みたいな具体的な悩み相談はありませんでしたよ」
ショウ「だろうな。しかし、それでどうして手ごたえを感じているんだ?」
マモル「人の悩みっていうものは、人間関係に大きな影響を受けていると思うんです。ギクシャクした雰囲気では誰でもストレスを感じるでしょうし、上司が他人と自分をいつも比較していたとしたら嫌でも劣等感を感じることになります」
ショウ「接客で満足させるにしても、目標売上を達成するにしても、周囲と良好な人間関係が築けていることは重要な要素になるだろうな。ポジティブな思考になれた方が人はパフォーマンスを発揮できる」
マモル「そうなんです。だからより良好な人間関係を築いていくことが、悩みを軽減することに繋がるんです。そしてどうしたら良好な人間関係を構築できるかは、以前から先輩にアドバイスを受けています。相手の話を聴き、受け止めることです。それが信頼関係を生み出す大切な基礎だと僕も思います」
ショウ「なるほどな。つまり、ひたすら従業員の話を聴くことに徹したわけか」
マモル「はい。仕事以外の話ばかりでした。子供の頃はこうだったとか、こんな体験をしたとか、こんな思い出があるとか。みんな楽しそうに話しをしていましたよ」
ショウ「で、経営者のマモルがその話を聴いているわけだな。普通の企業とは逆だな。普通は経営者が語りたがる。自分の価値観や考え方をいかに従業員に浸透させるかという点に重きを置きたがるが、マモルは違うようだな」
マモル「語るときは語りますよ。でも、今回の目的は違います。いかに従業員のモチベーションを高めるかです。経営者の思い出話を聞いたって、従業員のモチベーションは高まりませんよ。むしろしらけますからね」
ショウ「アメリカの経営学者であるピーター・ドラッカー氏の言葉を思い出したよ。彼はリーダーの役割についてこう述べている。
『過去のリーダーの仕事は、
命じることだが、
未来のリーダーの仕事は、
聴くことが重要になる』とね」
マモル「おそらく管理するよりも、モチベーションを高める方が組織力を強くすると考えたのではないでしょうか。従業員の自律性(オートノミー)を養うのも、同じような意味合いだと理解しています」
ショウ「さて、マモルの地道な取り組みがどんな成果を出すのか。マモルの会社がどう発展していくのか、ここからが楽しみだな」
マモル「ビジネスの世界は成果を出してなんぼですからね。実は、自分もここから先が楽しみなんです!」