※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『チームワークの重要性』です。
ショウ「おお、マモル久しぶりだな。どうした? なんだかいつになく幸せそうな笑顔浮かべやがって。前回のゴルフで俺に勝ったことをまだ喜んでいるのか?」
マモル「違いますよ。先輩よりゴルフのスコアが良かったのはまぐれですからね。先輩が最後のホールでOBしなかったら、僕は負けていましたし」
ショウ「そうなんだよなー。あの一打、今思い出しても悔いが残る。あそこまで順調だったから何も考えずに打ってしまったんだよ。もう少し集中力を高めて臨めれば防げたミスだったんだが……」
マモル「好事魔多しといいますからね」
ショウ「勉強になります。で? ゴルフで勝ったこと以外に何かいいことがあったのか? マモルのご機嫌な理由を俺は知りたいね」
マモル「先輩知らないんですか? 笑顔は幸せを呼ぶんです」
ショウ「そんなことは知っているよ。だがマモルは俺に気づく前から、ひとりでニヤニヤしてたぞ。なんかあったんだろ?」
マモル「いやー、ほんとうに些細な話なんで」
ショウ「それを俺に伝えたくて、昼間に呼び出したんだろ?」
マモル「お忙しいところ申し訳ありません」
ショウ「競合相手がついに自滅でもしたのか?」
マモル「いえ、あちらがどうなったかはその後よくわかりません」
ショウ「客足が戻ったのか?」
マモル「まだそこまでは……」
ショウ「なんだ、客足が戻ったわけじゃないのに喜んでいるのかよ。随分と余裕があるなー。俺はマモルの資金繰りに心配していたんだが」
マモル「心配の種は尽きません。それは従業員もみんな同じ気持ちです。そんな中でも誰も不満を口にせず、今できることを精一杯やっています」
ショウ「ほう。苦労した甲斐もあって、チームワークがかなり向上しているな」
マモル「そうですね。橋本さんも杉山も外回りに出かける時には気合入っていますし、木梨さんもかかってきた電話対応がとても丁寧です。会社の売り上げのためというより、ひとりひとりが自分の力を少しでも社会に役立てたい、社会貢献したいという強い信念を持ってくれています」
ショウ「社会貢献か…… そういえばマモルがマーケットを拡大するために従業員を雇うと決めた時に、そう言っていたな」
マモル「そうですね。もっと社会貢献したいという願いが一番の動機でしたね。あの頃は自分だけの夢でしたが……」
ショウ「それが、今はチーム全員で共有できているというわけか。そりゃあ幸せな話だ。経営者冥利に尽きるな」
マモル「はい。だから不安があっても、かなり軽減されているのだと思います。ネガティブな気持ちよりも、ポジティブな気持ちの方が強いんです。みんなのおかげですね」
ショウ「そうか、芸術家のオノ・ヨーコ氏の言葉には、
『ひとりで見る夢は夢でしかない。
みんなで見る夢は現実となる』
というものがある。夢を共有できることで、それぞれがよりパフォーマンスを発揮できるようになるのかもしれないな」
マモル「みんなで見る夢は現実となる、ですか。いい言葉ですね。とても希望が持てる言葉で勇気が湧いてきます」
ショウ「経営者も従業員もそう思えることが、チームワークの最も重要な部分だろう」
マモル「いろいろありましたが、従業員を増やせたこと、今の従業員にめぐり合えたことを幸せに感じます。それが知らず知らずのうちに表情に出ていたんでしょう。決して先輩に1打差でゴルフに勝ったからではありませんよ」
ショウ「これはうかうかしているとゴルフのスコアだけでなく、ビジネスでも追い抜かれそうだ。俺も初心に戻るか」