※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
マモル「先輩、明けましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします」
ショウ「こちらこそ宜しくお願いします。2020年、ついに東京オリンピックの年かー。記憶に残る大切な1年になりそうだな」
マモル「そうですね。オリンピックの観戦チケットはまったく当選しませんでしたが……」
ショウ「問題は経済情勢だよ。米中の貿易戦争もまだまだ警戒が必要だし、イギリスのブレグジットの問題もある。ハードブレグジットになるリスクも残っている。日本の政策金利も異次元緩和はしばらく継続するだろう。はたして東京オリンピックが終わった後の景気はどうなるのか、実に気になるな」
マモル「はたして2020年は、どんな1年になるんでしょうか?」
ショウ「国際社会や日本国内のことも気になるが、マモルの会社だって2020年は重要な1年になるだろう。リーダーシップを発揮していた橋本さんが起業するわけだし。新しい従業員も来るだろうからな」
マモル「そうですね。橋本さんはもう準備万端です」
ショウ「それはマモルのアドバイスや手助けがあればこそだろ? 橋本さんもかなり感謝しているんじゃないか」
マモル「僕が起業した際に先輩に感じた気持ちと同じだといいですね。しかし、疑問視している部分もあるようです。会社を辞めて、競合として起業する自分になぜここまで力を貸してくれるのか、という点です」
ショウ「それはそうだろうな。煙たがられても仕方がない立場だ。そこはマモルの器量の大きさを物語っているんじゃないのか」
マモル「いえいえ、僕の器量なんてたかがしれていますよ。以前に先輩から教えていただいたことを実践しただけです」
ショウ「敵に塩を送るって話か?」
マモル「橋本さんは敵ではありません。今後も一緒にプロジェクトを取り組んでいくことになる同志です。仲間です。先輩は僕が起業する際にいろいろアドバイスしてくれたとき、お話されていましたよ。幸福は分かち合うことで決して減らないと」
ショウ「ああ、なるほど。ゴーダマ・シッタッタ氏の話だな。ブッダ(釈迦)の教えだ」
マモル「僕は特に仏教に帰依しているわけではありませんが、あのお話には感銘しました。先輩、もう一度改めて聞かせていただけませんか?」
ショウ「そうだな。ブッダは、
『一本のろうそくから
何千本ものろうそくに
火をつけることができる。
それで最初のろうそくの
寿命が短くなることはない。
幸福は、分かち合うことで決して減らない』
と教えている。世の中には、相手が幸福になると自分の幸福が小さくなると不安に感じてしまって、相手にプラスを与えるような関わりができない人もいるが、本当の幸福というものは、分かち合っても減ることはないということさ」
マモル「先輩は僕にそのことを実践されたじゃないですか。実践してみて今はどう感じたんです?」
ショウ「そうだなー。マモルの仕事ぶりから勉強させてもらうことも多かったし、実際にうちの伸び悩んでいる従業員も、マモルの会社にレンタル移籍させてもらって大きく成長した。マモルの成長や成功は俺にとってもメリットは大きかったよ。ブッタの教えは間違っていないことが証明された」
マモル「それが僕の理想です。僕と橋本さんの関係もそうありたいと思っています。橋本さんが起業して成功して幸せになることは、僕にとっての幸福でもあります。だからこそ伝えていきたいこと、協力できることはしていきたいんです。先輩からいただいた灯火を僕が他人に灯す番ですね」