※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「年が明けるとあっという間だなー。もう1月も中旬だぞ。昔から1月行って、2月逃げて、3月去るというが、まったくその通りだ。慌ただしく時が過ぎていく、気づいたら年度末になってそうだ」
マモル「受験期ですから子どもたちも忙しそうですね。僕は暇を持て余すよりも、忙しくて1日が驚くほど早く過ぎる方がいいです。充実感がありますし、体力的にも精神的にも厳しいですが、嬉しい悲鳴ってやつですよ」
ショウ「同感だ。この時期に閑古鳥が鳴くのは気が滅入るからな」
マモル「それなんですけど、実は最近、橋本さんの表情がかなり暗いんです」
ショウ「橋本さん? だってまだ起業前だろ…… マモルが仕事を振りすぎて起業する準備が滞っているのか?」
マモル「橋本さんの業務はしっかり引き継ぎが終わっているんで、橋本さん自身は自分のことに集中できる環境ですよ。当然、新しい仕事を依頼することなんてしていません」
ショウ「ああ、それでなにか蚊帳の外に置かれている気分なのか。疎外感のようなものを感じているのかもしれんな」
マモル「いえ、そういうことで表情が暗くなっているわけじゃないんです。自分が独立して本当にお客が来るのかっていうことに不安を感じているんです。もしかしたらまったく仕事の依頼がなくて、起業に失敗するんじゃないかと」
ショウ「そこはマモルがこれまでのクライアントを橋本さんの会社に委託するって話だったろ。それだけでも保証があるんだから、まったく客が来ないってことはないんじゃないか」
マモル「そこはそうなんですが…… でも、それだけってわけにもいかないじゃないですか。橋本さんは、昨年1年間でとてもアグレッシブになったんですが、ここにきて以前の自信なさげの部分が顔をのぞかせているんですよ。もちろん不安を感じるのも無理のない話なんですが、どうしても先行きに対して極端にネガティブになってしまうようです」
ショウ「性格を完全に変えるっていうのは難しいだろ。そう考えてみると、マモルが起業するときもそこで悩んでいたな。マモルも近づき辛いぐらい思い詰めた表情をしていたぞ」
マモル「起業はやっぱり一大決心ですし、決めた後も実際はどうなるのかという不安が常につきまとっていましたね。そこで顔を上げることができるようになったのは、先輩からの言葉でした」
ショウ「なんだったかな?」
マモル「ヘレン・ケラー氏の言葉でしたよ。まさかお忘れじゃないですよね」
ショウ「ああ。アメリカの教育者として有名なヘレン・ケラー氏の言葉か。
『楽天主義こそ、
いっさいを成功に導く信念である。
希望がなければ、
何ごとも成就するものではない』
だな。もちろん経営者としてリスクを恐れる姿勢や用心深さは大切だ。しかし一方で、成功するためには希望を叶えたいという強い気持ちも必要だろう。新しい世界に飛び込むときには楽天主義ぐらいがちょうどいいのかもしれない」
マモル「その言葉を聞いて僕は吹っ切れましたね。とはいっても楽天主義にはなりきれなかったんですが、うじうじ悩んでも仕方がないと気持ちを切り替えることはできました」
ショウ「だとすると、橋本さんにもその言葉は伝えてもいいかもな。新しいことに挑戦して成功するためには、そういった心の余裕があったほうがいいだろう。ワクワクして楽しむっていう経営者の姿勢が、運気を招くと思うぞ。そういうイメージを強く持っている方が実現しやすいんだろ?」
マモル「ビュジュアライゼーション、幸せの引き寄せ術ですね。会社に戻って橋本さんに伝えてみます」