【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
TOKYOオリンピックも閉会し、夏休みも中盤に入ってきた。
ここまでの指導の中で、生徒ひとりひとりの状況はより明確になってきている。基本はしっかりでている部分もあれば、時間をかけて弱点の補強をしなければならない部分もあり、それらは生徒すべてで異なっていた。
以前は個別指導の限界を感じて葛藤していたが、税理士の天海さんから、
『後発企業が生き残るためには差別化が必要だ』
というアドバイスを受け、改めて大手学習塾ではできなくて、自分の個別指導であればできるサービスは何なのかを考える機会が増えている。
ポイントは「生徒ひとりひとりに合った指導」だ。
中学生であっても小学生の頃の算数の単元で理解できていないのであれば、そこまで戻って復習をする。そこまでしないと本当の理科や定着は得られない。逆にそこまでできれば学力の底上げは確実にできる。
ここまでの指導が確立できれば大手学習塾以上の親身で細かな対応が可能だ。
ただし現在の学年で習っている内容も疎かにはできないから、バランスは重要。いかに効率よく復習をしつつ、現在の学年で習っている内容に繋げることができるかということが問題になる。
そういった点では社会や理科は繋がりが弱いのでまずは現在習っている部分の補強だけで済むし、英語もそこまで戻って復習するほどの内容をまだ習っていない。
問題は数学と算数だ。例えば中学2年生の女子2人に連立方程式の食塩水の問題の解き方をマスターさせることは難しいことではないが、小学生の頃の百分率や割合の理解度が低いので問題文を変えられるだけで手も足も出なくなる。
覚え始めに時間がかかるのは仕方がない。ここは効率性を求めても解決しないだろう。授業を扱った内容を家庭学習で確実に復習し、類題まで取り組むことは絶対に必要だ。
効率性を求めるのであれば、宿題の出し方や内容、取り組み方まで徹底的に指導しなければならないということが見えてきた。
家庭学習は夏休み前の数倍になる。まったく家庭学習の経験がない生徒もいるので、負担感はかなりのものだ。
そこでへこたれて断念する事態も考えられた。家庭に理解や協力を求めることは必要不可欠であったし、何より生徒自身の勉強に対する考え方や姿勢を変えていかなければならない。
「今までわからなかったことがわかって楽しい」という感覚をどの生徒も感じていることは確かだが、それだけでは乗り越えられないだろう。特に部活に力を注いでいる中学2年の女子2人は、ここまでですでにかなりの疲労感を見せていた。
逆に受験を控えている小学6年の男子2人は、こちらの要求に応え、勉強量は圧倒的に増えている。それでも泣き言を言う気配はない。これが目標を持っている人と目標を持っていない人の違いなのかもしれない。
「目標か・・・・・・」
確かに自分も起業するのに際し、
遠い先の目標と、
目先の目標を定めることで
モチベーションが上がり、
行動も計画的に進められるようになった経験がある。
間違いなく勉強にも同じ事が当てはまるはずだ。
つまりひとりひとりの学習面談をもっと内容の濃いものにし、何年か先の目標と、もっと近い目標を立て、そのために何が必要なのかを一緒に考えていけば、負担感が増しても乗り越えられる可能性が高まるのではないだろうか。
そのためには今まで以上にきめ細かいカリキュラムが必要だ。
先の目標に見合ったカリキュラムと、
近い目標に見合ったカリキュラムの
ふたつを用意し、
そこに合わせて授業を行い、
状況に応じた宿題を出して家庭学習も充実させる。
これが実現できれば確実に大手学習塾との差別化は図れるし、この個別指導のメリットを最大限活かすことができるはずだ。