【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
オンラインによるレッスンは、講師・生徒側ともに移動の制限がなく、マーケットの拡大にはとても有効な手段であるが、指導にはいくつかの注意点がある。
成果をあげていく上で乗り越えていかなければならない課題点は、リモートの死角をどう補っていくかだ。
画面に映し出される部分だけしか確認できないため、映らないところで実際に生徒が何をしているのかわからない。
話を聞いているようで、実はスマホでLINEのやり取りをしていたり、ゲームをしているケースもある。
質問して確認しようとしても、模範解答を見て答える生徒だっているくらいだ。
そうなるといくら時間をかけても、講師側が熱心に指導しても成果には繋がらない。
だから対面による直接的なレッスンよりも、オンラインレッスンの方が難しいのである。
学生アルバイト講師である石川が担当することになった中学受験生も、やはりそういった点が問題になってきた。
石川の報告によると、問題を解くときや書き写すときの字が汚かったり、整理できていないことが成績低迷の要因ではないかという懸念が浮上。
ただし石川は生徒の表情もよく観察しながらレッスンを行っていきたいという希望も伝えてきた。
つまり手もとと表情の2画面を映し出しながらレッスンを行うということだ。
相手方にも相談すると、ぜひお願いしたいということで、石川の提案は実は「書き方の指導」は
顧客自身も意識していなかった
重要なニーズだった。
そうなるとSkypeよりもZoomの方が使い勝手がいい。ただし無料用だと40分でいちいち切断されて再度繋がないといけなくなるため、法人用の有料アカウント取得が必要になる。
PCの他にiPadも利用してレッスンするのだが、専用のApple Pencilの方が高額だが書きやすいということで新たに購入。
このようにハード面でいくつかの改善点が生れたが、必要経費だと惜しまなかった。
石川はiPadに作成したノートを担当する生徒と共有をかけて、宿題の取り組み内容まで確認しているし、そこにカリキュラムも作成してアップすることで家庭も状況を把握しやすくする工夫を行っている。
レッスン以外にもレッスンと同じくらいの時間を取られているだろう。
それぐらい手厚く石川はサポートを行っているのだ。絶対にこの生徒の成績を伸ばすという強い決意が感じられた。
こうなると他の講師と同等な給与とはいかない。
オンラインレッスンの指導方法まで石川は構築し、さらに状況によって改善していっている。
オンライン指導部部長と言っても過言ではない。
この件について顧問税理士の天海さんに相談したところ、石川の働きをとても評価していた。
そしてセブン&アイHD会長である鈴木敏文氏の言葉を教えてくれた。
『世の中の変化、
お客様のニーズの変化こそが
最大の競争相手である』
まさに石川はその変化に敏感に対応してくれていた。
私の学習塾の飛躍には欠かせない存在になっている。
他の講師との間で交している時給や待遇面は石川については更新する必要があるだろう。
オンラインレッスンの別法人を立ち上げてスタートアップしてもらうことは、さすがに学生アルバイト講師には難しい話であるが、オンラインレッスン部門を別に設けて、そこの主任という役割についてもらうことはできる。
待遇面は一新だ。
世の中の変化・顧客のニーズの変化に対応していくためには、経営者である私もまた変化に対して柔軟になっていく必要がある。
そのためにはハード面だけでなく、
ソフト面も既存のものから
脱却しなければならない。
それは、現代で盛んに使われている「DX」(デジタルトランスフォーメーション)を、少しでも私の学習塾に取り入れていくことと同義だった。