コラム



税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか 112 経営責任者としての責任を忘れない」

 

今回のポイント
 任せて任さず 

 

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

 

初めての開催したOB・OGの合格報告会には、塾生とその保護者だけでなく、20名もの一般生を迎えて大いに賑わった。

OB・OGの話には、部活と受験勉強を両立するたいへんさと重要性、最後の追い上げにどんな取り組みが必要だったのか、この学習塾にどれだけ励まされ、鍛えられたのかなど興味深いエピソードが多く、一般生の心にもかなり強く突き刺さっている。

鉄は熱いうちに打てという言葉通り、私はその感化された状態にすかさず二の矢のアプローチを仕掛けた。

GW中の体験会への誘導だ。

 

ただし、学生アルバイト講師の多くが休みのため、私は相変わらず1日の休暇もなく対応に追われることになった。

心強かったのは、今回のイベントを提案し、段取りを進めてくれた石川が連日働いてくれたことだ。

中高年の私に対しては幾分表情が硬い女子が、石川の前では弾けるような笑顔を浮かべている。

やはりこの時期の女子は年上の尊敬できる女性に心を開く。

 

 

20名の一般生のうち、電話掛けから体験会に誘導できたのは7名。

塾生はお休みなのでかなり寂しい雰囲気ではあるが、そのため一般生は緊張せずに来塾できる。

私の説明を聞いてから、石川の個別指導を受け、1時間の自習室を利用して最後に学習面談。

学習面談では、志望校を確認してから今日参加しての感想と現状の勉強の悩みを聞き、それに対してアドバイスをする。

クロージングはGW明けからの入塾。

 

ただし、このタイミングでの入塾はそんな簡単な話ではない。

講習会であれば少しずつ感化し、入塾への意識を高めていくのだが、今回は1日勝負。

しかも4月のスタートが切られた後の中途半端な時期だ。

ほとんどの一般生が、入塾したいとは思うが、夏まで様子を見て夏期講習会後に再度検討するという回答になることが予想された。

 

そんな中、ここでも石川が大活躍。

石川の個別指導を受け、そのまま石川の学習面談を受けた5名の女子が5月入塾を決めたのである。

この時期に7名の体験会受付があって、そこから5名も入塾するなんてことは過去を振り返っても記憶がない。

4月、5月の入塾はまったく動かないのが通例なのだ。

石川はそれを完璧に覆した。

中学3年生女子3名と中学1年生女子2名がGW明けから塾生として加わる。

驚くほどの大快挙だ。

 

その結果について私は顧問税理士の天海さんにすぐに電話で報告をした。

 

「ほう、それはお見事な対応じゃな。中学3年生はほぼ倍の人数になったのではないかの」

 

「ええ、今期のスタートは4名でしたからね。これで中学3年生は7名です。前年比もマイナス11まで縮めることができました。石川に頼りっぱなしではあるのですが・・・・・・」

 

「学生アルバイト講師をそこまで育成したはじめさんの手腕じゃよ。さらに大事な案件を任せたことでどんどん成長しておる」

 

「確かにオンライン部門を任せるようになってから飛躍的に成長していますね。対応力も生徒からの信頼度も頭1つ、2つ飛び出しています」

 

 

「人材育成にも手腕を発揮した松下幸之助氏の言葉にはこんなものがある。

 

任せて任さず

 

という言葉じゃ」

 

「任せて任さず・・・・・・ 任せっきりにしてはいけないということでしょうか?」

 

「はじめさんには

 

経営責任者として、

 

従業員の仕事にしっかりと関わり、

 

報告も丁寧に聴き、

 

コーチングしてさらに大事な視点を気づかせる

 

責務がある

 

どんなに信頼できる従業員であってもまだまだ未熟な部分はあるからの。そのことは忘れぬようにせねばならん」

 

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