2024年6月下旬となり、今年の夏期講習会まであと1ヶ月を切った。
例年であれば募集活動をどうすればいいのかといろいろ知恵を絞っている時期なのだが、塾生数が50名規模になると反響も大きく、自然と人が集まってくるようになる。
毎朝小中学校の校門近くで、夏期講習会告知のためのハンディングをしていたのが懐かしいほどだ。
逆に不安な点と言えば、教室のキャパを生徒数がオーバーしてしまっている点。
塾生だけだと現状の教室でギリギリ対応できるが、ここに20名以上の一般生が参加するとなると入りきれなくなる。
レッスンはスケジュール管理できるのだが、自習室の使用をかなり制限しなければならなくなりサービスの質が低下してしまう。
そのため春先から大家さんと交渉し、2階の空き室も教室として借りることになった。
これで賃貸料はこれまでの月額10万円から20万円に跳ね上がる。
人件費も月額60万円を超えている状態だが、サービスの質が低下し、不満から退塾生が出てしまっては元も子もない。
県内の教育の熱をこれまで以上に高めていくという企業理念に反することは絶対にしたくなかった。
塾生数を増やしていくことは今後の経営にとってかなり重要だ。
石川や酒井を来年度から正式に社員として雇用することになると人件費はさらに増す。
その耐久力をつけるためにも売上アップは必須である。
顧問税理士の天海さんからは、常々「人は宝」という教えを受けていた。
優れた人材を育成することが、企業理念を実践する柱であり、売上アップにも大きな影響を与える。
そのためにこれまでかなりの時間と労力を割いて人材の育成に励んできた。
天海さんは、ニデックの創業者である永守重信氏の言葉を引用し、
『自分のポストを
脅かす部下を育てろ』
とも話されていた。
石川と酒井は完全に即戦力となる人材に育ち、榊原、本多、井伊といったさらに若い学生アルバイト講師たちも順調に成長している。
そう遠くない未来に講師として私を抜く日が来るだろう。
そして今よりもっと大きな影響を子どもたちに与えることができるようになる。
だからこそ、大学卒業と同時にこのメンバーを手放すことなど考えられない。
人手不足の近年、自分に合わないと感じたら転職する有能な若い社会人が増えているという。
やる気のない従業員が辞めていく分には企業としてダメージは小さく済むが、将来有望の若手が離れていくのは企業の未来を閉ざす大きな要因になるだろう。
どの企業でも「人は宝」を口にする。
それは昔も今も変わらない。
変わったのは、
現代は、人は宝と
お題目のように口にしているだけの企業は
働き手から簡単に見放されるということだ。
貴重な人材を育てることに一生懸命になり、
若くても自主的に働ける環境を
整えることに尽力している企業にこそ
有能な人材は集まる。
もちろん給与面も重要だが。
天海さんの言うとおり、従業員を「人財」として尊重できる企業こそが生き残れる時代になったのだ。
私の起業した学習塾は、はたして石川や酒井に魅力的に映っているのだろうか。
ここで長く働き続けたいと思ってもらえているのだろうか。
そう考えると昨年より大幅に売上が伸びたとはいえ、現状に満足してばかりはいられないのだ。
もっともっと取り組み、改善していかなければいけない点はたくさんある。
幸いにも夏期講習会募集は滞りなく参加者の数が増えているので、昨年まで募集活動に割いていた時間を2階の教室整備に充てることができた。
今まで以上に塾生たちが意欲的に勉強でき、講師が力を発揮できる空間を作り上げる予定だ。
これまで同様、人は宝だということを実践できる組織を目指していこう!