2月中旬から下旬にかけては中学生が忙しい。
学年末試験がどの学年でも行われるし、中学3年生は私立高校の受験も重なる。
地元生にとって私立受験はあくまでも滑り止めなので、先日までの中学受験のような異常な緊張感はないが、3月に入れば本命の公立高校受験があるためみんな真剣モードだ。
中学1年生や2年生にとってもこの定期試験の結果で1年間の内申点が決まるのだから、いつも以上に力が入っている。
そうした一方で、この時期になると講師陣にはさすがに疲れが色濃く見えてきていた。
毎週日曜日には公立高校受験を見据えたプレ入試を半日かけて行っているので、ほぼ休みなしで駆け抜けている状態だ。
1年間で最もキツい期間といえる。
同時に春期講習会の募集活動。
来年度のスタート人数を決めることになる重要なイベントだ。
年に3回開催される講習会の中で最も期間が短く、費用も安い。
よって一般生が参加しやすい講習会であり、学年の節目で1年間のスタートのため入会にも繋げやすいという特徴がある。
どれもこれもが大事なイベントばかり。
ここを乗り切り目標を達成するには体力が必要なのはもちろんのこと、メンタル面の管理が不可欠だ。
経営者としての腕の見せ所で、従業員をあの手この手で励ましモチベーションを高める。
しかし、それだけでは極限まで蓄積した疲労感はぬぐえない。
過酷な戦場の中で皆が一致団結して前進するためにはもっと必要な要素がある。
褒め言葉や賞与といった類いのものではなく、それは心を震わす感動のシーンだ。
中学受験を終えたオンライン生で、東京都在住の親子がわざわざ直接こちらまで足を運んで合格の挨拶に来てくれた。
今年の中学受験生の中で最も力があり、期待をしていた生徒だが、2月1日の2校、2日の2校、3日の1校、4日の1校と合計6校で不合格となった。
私も他の講師もみな愕然としてその結果を受け止められずにいる中で、5日に繰上合格が決まった。
第一志望ではないものの、現役で東大に5名、早慶に25名、医学部に40名合格している名門の中高一貫校で、新御三家に数えられているほどだから十分に嬉しい合格である。
親子共々相当キツい中での大逆合格で、涙ながらに報告、感謝してもらえて、講師の中には涙ぐむ光景が見られた。
一番嬉しかったのは、「最後までこのレッスンを受けさせてくれてありがとうと子どもに言われた」という母親の言葉だ。
このひと言で我々のすべての努力が報われる。
この家庭に関われて良かった、この仕事をしていて良かったと心底思える瞬間だった。
そしてこのようなシーンのおかげで、我々にどんなに忙しくても前進する強力なパワーをくれる。
前進するために重要なのは、
自分自身でこの仕事に
やりがいを強く感じられるかどうかなのだ。
顧問税理士の天海さんは仕事のやりがいについて、AppIeのCEOであるスティーブ・ジョブズ氏の言葉を引用されたことがあった。
『やりがいを感じることができる
ただひとつの方法は、
素晴しい仕事だと
心底思えることをやることです。
そして偉大なことをやり抜く
ただひとつの道は、
仕事を愛することでしょう』
経営者からのメッセージを聞いてそれを感じることはあるだろうが、
一番強烈に響くのは
お客様から直接感謝の言葉を聞き、
その笑顔や幸せそうな表情を見ることだろう。
これまでの集大成である受験を成功させられたからこそ、新しい年度のスタートという最も重要なタイミングを勢いよく乗り越えていくためのエネルギーを得ることができるのだ。
生徒も講師も一丸となって全力で頑張ってきたからこそ見られた最高の笑顔のおかげで、2月後半も足を止めずに前進できそうだ!