コラム



税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』  「起業って何から始めればいいのか106 起業3年目の注意点」

 

今回のポイント
 存続のための見直し点 

 

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

2022年度もいよいよ終了を迎え、4月からはいよいよ新年度スタートとなる。

進学塾の講師から一転、新たな学習塾を起業して丸2年が経過した。

起業した会社が3年間存続できる割合は、全体のおよそ6割という話を起業当時から聞いていたが、あと1年でその枠に入ることができる。

 

 

当初の目標は塾生数50人で、月の売上が75万円。

顧問税理士の天海さんの親身なアドバイスを受けることができ、2022年の夏期講習会明けには月の売上が71万円まで到達した。

いろいろ苦労はしたものの、ここまでは健闘してきたと言えるだろう。

核となる中学3年生の全員が志望校に合格し、この春、さらに評判は上がっている。

 

しかし、エネルギー価格高騰など物価高という逆風が吹いたことによって、今年の入塾数は厳しい状態だ。

春期講習会がもう少し続くので、まだ塾生数は伸ばせる可能性はあるが、現時点では前年比マイナスである。

小5が1名(前年比プラス1)

小6が4名(前年比プラス4)

中1が3名(前年比プラス1)

中2が8名(前年比プラス6)

中3が4名(前年比マイナス14)

オンライン3名(前年比変わらず)、

新たな試みの高校部持ち上げ2名でトータルの塾生数は25名。

月の売上は49万円と50万円を割り込んだ。

 

やはり中学3年生のマイナス分が大きい。

予想していた事態なので、対策を事前に取り組んできたが、それでも穴は埋められなかった。

しかし、学習塾の売上は、春より夏、夏より冬と増えていくので、ここから心機一転頑張れば前年を上回ることもできるはずだ。

 

天海さんには春期講習会が終了してから状況の報告を直接する予定だったが、今日は春期講習会の経過を兼ねて電話をしてみた。

 

「中学3年生以外の学年は増えていますので、ここのカバーさえできれば目標を達成できます」

 

「ふむ。プラン通りとはいかなかったが、2年間臨機応変に対応し、ここまでよく頑張っておるの。いよいよ勝負の3年目、準備資金が尽きてくるタイミングじゃがどうかの?」

 

「日本政策金融公庫の返済が38,000円、人件費が15万円、家賃が10万円とここまでは問題ないのですが、やはり光熱費が上がり、私の生活費自体は貯蓄を切り崩すことになってしまいました。ただ、昨年後半の黒字分で補えています」

 

「経営としては利益を出せるところまできておるので、この1年でこれまで蒔いてきた種がどう芽吹くかじゃ」

 

「3年目を迎えるにあたり注意しなければいけない点は、資金振り以外にもありますか?」

 

「そうじゃな、

 

経営者のモチベーションが

 

3年目の大きな分岐点になるぞ

 

売上が伸ばせずにモチベーションが低下してしまうケースもあるが、逆に安定してきて惰性になってしまうケースもあるからの。これまでひたすら駆け抜けてきた疲れも出てくる頃じゃ」

 

 

「確かにモチベーションは自分自身でも心配です。昨年11月以降の取り組みは自分自身でもかなり手応えがあったのに、新年度スタートが思わぬ結果となってしまい、この春期講習会が終わると一気に緊張の糸が切れそうな気がしていました」

 

「ここは辛抱し処じゃ。我慢強さを武器に天下を治めることに成功した家康公も、その点は注意したようじゃの。

 

人間は健康すぎたり得意すぎたりするときも

 

警戒を要するものだが、

 

疲れたおりの消極性もまた

 

厳に戒めなければならない

 

と語っておる」

 

「新年度スタートはあくまでも通過点と自分自身に言い聞かせて、モチベーションを維持します!」

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