2024年1月もあっという間に中旬を過ぎて、2月目前。
中学受験はまさに正念場である。
埼玉受験は1月10日から始まっているし、関西も1月13日から開始。
首都圏の受験は2月1日から始まるが、そのほとんどが滑り止めや予行練習を兼ねて1月受験を行うので、オンライン生全員がどちらかに必ず受験している状態だった。
合格発表の時期は学校ごとによって異なり、翌日の午前中には合否が判明する学校もあれば、数日後という学校もある。
首都圏は当日の夜には合否が判明するのに対し、埼玉受験などは受験者数が多いため簡単には採点処理ができないのだろう。
ということで合否連絡が来るのが1月11日以降。
10日の受験組は滑り止めということもあり全員合格。
それを踏まえての13日のチャレンジ受験は不合格者が出た。
さらに関西組の受験初日となる13日受験は第一志望で難関校が多い。
翌日が合否発表となるが、こちらでも不合格者が出た。
昨年の中学3年生は全員合格を掴んだが、どの学校も倍率は低く、手堅い志望校だったという背景がある。
大都市の中学受験となるとそうはいかないだろうと予想していたが、合格可能性の高い生徒の不合格はショックが大きかった。
特に13日、14日と難関校を受験していてどちらも不合格だった報告を聞くと、講師一同が落胆の色を隠しきれない。
電話で報告してくる母親も電話口で泣いているが、それを聞いた担当の石川も涙を流しながら話をしていた。
それだけの量のレッスンをここまで行い、万全の仕上げをし、自信をもって送り出しただけに悔しさが大きいのだ。
不合格者に対しては「まず謝罪」と定めている進学塾も多い。
マニュアルに沿って指導の至らなさを謝罪することで、穏便に済ませるという方針だ。
この点については顧問税理士の天海さんと以前から話をしていた。
「精一杯の指導を行い、生徒も両親もその指導に満足して受験したのであれば謝罪の必要はあるのかの? 合否については運・不運もあるじゃろう。
やるべきことをして挑んだわけじゃから、
その努力を認め、
今後の将来に繋げていく対応に
重きをおくべきと思うがの」
「確かに天海さんのおっしゃる通りです。マニュアル通りの謝罪だと逆に相手を落胆させる可能性が高いです。首都圏受験を中心に厳しい結果が予想されますが、不合格であっても堂々とこの先の中学校生活を過ごしてほしいという意味を込めて謝罪は一切しないことにします」
「マイクロソフトの共同設立者であるビル・ゲイツ氏も成功ばかりを経験してきたわけではない。
彼の言葉には
『成功を祝うのもいいですが、
もっと大切なのは失敗から学ぶことです』
というものがあるほどじゃからの」
「成功は失敗の元、成功の反対は失敗ではなく何もしないこととよく言いますが、同じような意味合いですね。今回は不合格という結果であったとしても、努力が花開くのはもう少し先になるかもしれないのですから、まずはここまでの頑張りを否定することなく、次の目標に向けて継続していくことが最も重要だと私も思います」
「学生アルバイト講師の面々にもその意図をしっかり伝えたうえで、
謝罪で回避しようとせずに、
努力を認める声がけを心がけ、
両親から子どもにも
同じような接し方をお願いするのがいいじゃろう」
その後、この話を講師一同と共有していたので、今回の不合格の連絡に対し、石川は涙を流しながらでも、生徒のここまでの頑張りを称え、励ます姿勢を崩さずに話ができていた。
おそらくこの対応によって、家庭でも落胆はしながらも、第一志望目指して頑張り抜いてきたことに少しでも意義を感じてくれていることだろう。