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税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』  「起業って何から始めればいいのか 155 勝ちが続いたときには●●に気をつけよう」

 

今回のポイント
 油断大敵 

 

 

2024年も月日はあっという間に過ぎ、3月下旬にさしかかった。

昨年11月から続いた怒濤の如き忙しさも、ようやく出口が見えてきた今日この頃。

塾講師になってもう20年以上毎年経験してきたことながら、この多忙期の長さはやはりしんどい。

ただ、身体の疲れは感じるものの、精神的にはまったく疲れていないのは初めての経験かもしれない。

これは間違いなく学習塾の経営がうまく進んでいるからだろう。

 

春期講習会の準備が整い、新学期に向けても見通しがたったので、今日は久しぶりに顧問税理士の天海さんと夕食だ。

ここまで躍進できたのも天海さんの助言あったのこと。

ささやかながらのお礼を兼ねての食事会である。

 

 

「例年の今どきは、まさに疲労困憊といった表情じゃが、今年は違うようじゃな」

 

「やはり成果は大きな活力の元になりますね。こんな晴れ晴れとした気持ちで春期講習会や新年度を迎えるのは初めてですよ」

 

「経営者のはじめさんはそのようじゃが、学生アルバイト講師の皆さんも同じように元気なのかの?」

 

「ええ、たくさんの生徒が集まってくれているのでみんな自信をみなぎらせながらレッスンに励んでいますし、春期講習会の準備もしてくれています。頼もしい限りですね。どうやらこの調子で春期講習会も順調に進みそうです。最高の新年度スタートになりそうですよ!」

 

「ほう、はじめさんが先行きについてここまで自信を持って話をするのは初めてかもしれんな。やはり中学受験の全員合格から流れが大きく変わり、勢いがついたのじゃろう」

 

「考えてみるとそうですね。できる限りの対応をしていましたが、かなり厳しい結果になることを覚悟してもいました。その上での大成功でしたからね。自分たちの指導力についてもとても自信になりました。中学3年生の高校受験は全員合格にはなりませんでしたが、好結果でしたし、春期講習会の募集・入会についても良好です。ここはこのまま勝ちの勢いに乗って新学期を迎えたいですね!」

 

「はじめさんが3年かけて種を植えて育ててきたものが実を結んだことはたいへん嬉しいことじゃ。しかし、人生どこに落とし穴が待ち構えているかわからぬ。用心は常に怠らないようにしたほうがよいぞ」

 

 

天海さんの意外な発言に私は内心驚いていた。

てっきり喜んでくれるばかりだと思っていたからだ。

天海さんの表情はむしろ不安げだった。

 

「天海さん、何か気になることがあれば何でも言ってください。今までも天海さんのアドバイスにたくさん救われてきました。どのような言葉でもしっかり咀嚼する心構えはできています」

 

そう言って私はもつ鍋を頬張った。
不安な要素はかなり解消されており、経営にも自信がついてきていたため心に余裕がある。

 

「あくまでも老人の心配ごとじゃ、あまり気にせんでもいいが、一応、ひと言だけ伝えておくとしよう。パナソニック創業者である松下幸之助氏の言葉にこういったものがある。

人間本来の性質として、

 

勝ちが三べん続くと、

 

どうしても自惚れてきて、

 

油断するようになる

 

とな」

 

「自惚れてきて、油断する、ですか」

 

「油断して気が緩むようになると、これまで注意深く丁寧に取り組めていたことが雑になる。気の緩みは注意力を低下させる要因じゃからな。

 

その結果、思いもよらぬ失敗が

 

起こるケースもあるということじゃ

 

「確かにこの多忙期の出口が見えてきたことと、経営がうまく運んでいることの余裕から気が緩んでいるかもしれませんね。経営者の私自身がそうですから、学生アルバイト講師もみな同じ心境でしょう。今は1年の計であり、次の1年の大切なスタートですから、改めて気を引締め、油断して失敗しないように気をつけます!」

 

 

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