各学校では新学年の始業式が行われ、いよいよ本格的に2024年度がスタート。
私の経営する学習塾は、春期講習会からの入会が予想通り順調で、新学年の塾生数は、新小4が2名、新小5が4名、新小6が9名、新中1が8名、新中2が7名、新中3が13名、新高1は0名、新高2が4名、オンライン部門が新小5から新高2までで27名、トータル74名と前年の25名からおよそ3倍に膨れ上がった。
前年の月の売上が492,000円だったところから1,548,000円とジャンプアップ。
地域のほんとうに小さな個人塾から、少し大きな個人塾へと成長を遂げたことになる。
ここからさらに塾生が増え、夏期講習会・冬期講習会と開催していけば年間売上2,000万円到達も十分に狙えるだろう。
顧問税理士の天海さんからはそれだけの努力と工夫をこの3年間積み上げてきた成果だと評価していただいたが、実感はまだ湧かない。
ただ、学生アルバイト講師たちと日々全力で生徒のためにやってきたことが実を結んだことが単純に嬉しかった。
4月のスタートを切れれば、塾講師にとっては束の間のゆったりできる時期が続く。
昨年の11月以降、なかなか天海さんに直接会うことができなかったこともあり、私はこれ幸いと連日のように昼食や夕食を共にしていた。
「最近手ごたえを感じてはいましたが、本当にこの規模まで自分の学習塾を大きくできるとは夢のようです。起業時には到底想像できなかった成果ですよ」
「成功、成功の連続というよりも、失敗、失敗の連続だったことで多くを学び、柔軟性のある経営ができているからじゃろう。挫けず、折れず、諦めず、よくここまで頑張り続けたの」
「天海さんという心強いパートナーがいてくれたおかげです。自分独りで起業していたらメンタル面でとっくにリタイヤしていたことでしょう。本当に感謝です!」
「年間の売上が1,000万円を超えたら個人事業主から法人化するタイミングということで、いち早く法人化しておいて良かったの。比例課税方式が採用されている法人税によってかなりの節税ができたぞ」
「まったくです。法人化によって事務作業の量が増えて、天海さんに頼りっきりになることを懸念していましたが、そのコストを補って余りある状態ですからね。あのまま個人事業主で所得税を支払っていたらと考えただけでゾッとします」
「2024年4月からは
賃上げ促進税制が拡充される。
これによって
法人税はさらに控除が可能じゃ」
「賃上げが広く行われるようにと日本政府によって設けられた制度ですね。具体的にはどうなるのでしょうか?」
「中小企業向けでは、
継続雇用者の給与等支給額が
前年比+1.5%で税控除額が15%、
前年比+2.5%だと税控除額が30%となる。
教育訓練費が前年比+10%だと税控除額が10%上乗せになり、他の要件も満たすと最大45%まで控除の恩恵を受けられる仕組みじゃよ」
「この4月からというと、ちょうど学生アルバイト講師の時給をアップしたタイミングですね。しかも+2.5%以上賃上げしていますから対象になります。ただ、賃上げについてはネガティブな面も気になっていまして・・・・・・」
「ほう、どんな点じゃ」
「今は最高潮にうまくいっていますが、いつ何時大きなミスを起こして評判が下がり、赤字運営に戻るか不安に感じることがあるんです。そうなったときに時給をダウンさせるわけにもいきませんし」
「ひとまずこの税制は
赤字になった場合の繰越が
5年間まで可能になっておる。
仮に赤字に転落した年度があったとしても、黒字化した年度に控除を繰越できるという仕組みじゃ。法人税額控除上限の20%以上に控除額がなった場合でも、その分を他の年度に繰越できるから便利じゃぞ」