コラム



税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』  「起業って何から始めればいいのか 164 同業者との交流による人材育成」

 

今回のポイント
 成功よりも成長に注目 

 

 

光陰矢のごとしとはよく言ったもので、ついこの前に受験が終り、ようやく春期講習会を迎えたと思ったら、早くも5月が終わろうとしている。

2024年もそろそろ折り返しの時期を迎えるのだ。

6月には期末テストの準備と並行して夏期講習会の準備と募集活動開始。

そして7月には夏期講習会が開講。

おそらく次に気がついたらもう秋になっているに違いない。

 

私の学習塾の評判は上々。

大規模な進学塾よりも親身に面倒を見てくれ、成績も伸びるし、志望校合格の可能性も高まると地域からは高い評価を得られるようになっている。

今週の中間テスト、来月の期末テストで成果を出しつつ、中学受験を目指している小学生の模試の成績も伸ばしていければさらに集客は期待できるだろう。

 

 

若い学生アルバイト講師が多くはあるが、若手が重要な仕事を担当する機会が増えるので、経験を積みどんどん成長している。

中にはすでに私の指導力を超えていると感じる講師も現れているほどだ。

全員がそこまで成長しているわけではないが、定期試験の対策レッスンの効果はそれぞれ確実に上がっているし、自習室管理や生徒との個別面談などの質も向上している。

 

今の私には、小規模な学習塾ながら精鋭の講師陣と学力を身につける環境がかなり整備されてきたという自負が芽生えていた。

 

そんな中、まったく接点のない県外に展開している進学塾から連絡があった。

どうやら私の学習塾の急成長ぶりが業界でも少し話題になっているようで、興味を持ったらしいのだ。

 

 

内容としては、後学のため業務やレッスンなどを見学させてほしいというものだった。

 

これはまったく思っていなかった提案で、一端は保留。

顧問税理士の天海さんに相談してから決めることにした。

成長している自負はあるが、それは同業者に公表するほどのものなのか疑問に感じたことと、そういった交流に意味があるのか腑に落ちなかったため断るのを保留したような感じだ。

 

「他県にまではじめさんの学習塾の名前が広がっているとは喜ばしいことじゃの」

 

「そうですね、相手方は私のところよりも規模の大きな進学塾ですから、そのような提案をいただいたことに驚きましたし、自信にもなりました」

 

「ただ、はじめさんはあまり乗り気ではないらしいの」

 

「断るほど多忙な時期ではないので、見学に来られることは問題ないのですが、手の内を見せるような気がして何か引っかかるんですよ。こちらにはデメリットしかないんじゃないかなと」

 

「同業者との交流の機会は、同じような悩みを抱えて乗り越えた話題など聞けて、若い学生アルバイト講師に良い影響があるのではないかの」

 

「なるほど、コミュケーションが取れる交流会のようなものも開催すれば、見学に来る講師からためになる話もいろいろ聞けますね。若手ばかりですから伸びしろはこちらの方があるのか・・・・・・ そう考えると確かにメリットもあります」

 

「もちろん相手方の職場に見学に行くことも可能になるじゃろう。交流とはそういったものじゃ。新しい知見によって大化けする学生アルバイト講師も現れるかもしれぬぞ」

 

「塾講師はただでさえ狭い世界の中だけで働きがちですからね。他の塾に見学に行くだけでも世界は広がります」

 

「今後の事業を拡大し、教室を増やしていくとなると、従業員には教室長としての手腕も必要になるじゃろう。そういった業務も直に見られるのは大きな糧になる。サッカーの監督で有名なアルベルト・ザッケローニ氏の言葉に、

 

成功は必ずしも約束されていないが、

 

成長は必ず約束されている

 

というものがある。

 

同業者との交流は、

 

従業員にとって成長を促す

 

絶好の機会ではないかの

 

 

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