2024年8月がようやく終りを告げた。
例年通りの猛暑・酷暑、ゲリラ豪雨に台風。
今年は気候による過酷さに加えて、他県の大手進学塾の進出があったのでより一層たいへんな夏期講習会となった。
ひとまず無事終了できたのは、講師陣が最後まで頑張り抜いてくれたおかげである。
それについては感謝しかない。
しかし塾講師にとっての夏期講習会終了とは、レッスンの日程がすべて消化されたことを指す言葉ではない。
夏期講習会が終わり、夏休みのわずかな残り期間、そして2学期の開始直後まで塾講師にとっての夏期講習会は続くのだ。
それは入会活動である。
講習会を開催する目的は参加してくれる生徒たちの学力アップである。
ただ、学習塾はボランティアではない。
営利目的も当然含まれる。
営業面に関しては、夏期講習会でいかに一般生の入会を促し、塾生数を増やしていくのかという目標がある。
昨年の一般生参加は30名、うち9名が入会。
入会率は30%。
決して悪い数字ではないが、喜ぶほどの成果でもなかった。
対して今年は一般生18名、うち入会が確定したのは現在わずか1名。
入会率はたったの5%。
私の20年に及ぶ塾講師人生の中でこれほど低い入会率は記憶にない。
2学期から入会する意欲的な生徒が清洲予備校に鞍替えしてしまったことが大きな要因だが、それだけではない。
入会意志はあるものの、「あれをしてほしい・これをしてほしいとこちらへの要望が常軌を逸していたり」、「冬までに偏差値を20上げるといった無理難題の目標を譲らない」といったような入会を受け入れて良いか悩むケースが多かったからだ。
背に腹は代えられないということで、こういった生徒の入会を受け入れていればすでに5名の入会、入会率28%にはなっている。
入会率的には昨年に匹敵するのだから、どうしても受け入れたい気持ちにはなった。
しかし結果として断った。
もちろん直接的な表現はせず、現状や目標を鑑みてやんわりと他の勉強の手段をアドバイスした感じである。
リピーターとして冬期講習会にはぜひ参加してほしい気持ちを込めて対応した。
数字を追って入会を受け入れたら、今度はトラブルやクレームに追われて講師陣がパンクするのが簡単に予想できたからだ。
そしておそらくかなりの時間と労力を割いた挙げ句、ニーズに応えきれずに最終的に退塾となるだろう。
私の学習塾の最大のウリ、清洲予備校に負けないメリットは「講師一丸となった親身で的確な対応」である。
目先の売上や塾生数増加に釣られて対応を誤れば
他の塾生の対応が疎かになり、
強みを失うことになるのだ。
顧問税理士の天海さんに相談すると、
「お客様を選ぶ、
そう聞くとなんとも増長した姿勢に感じるじゃろう。
しかし、一部のお客様に振り回される状態は死活問題になる。
長く付き合っていきたいお客様を選ぶことは、
現状のはじめさんの規模を考慮するととても重要なのじゃ。
新規顧客開拓においてその視点と覚悟は忘れてはいけない」
入会したいという家庭をすべてウェルカムで受け入れることの難しさを話してくれた。
そしてウシオ電機株式会社の創業者である牛尾治朗氏の
『1敗の重大さを忘れてはいけません。
いくら魅力的な儲け話でも、
いささかでも自信がない話、
不安を感じる話は、見送り、
休む勇気ももたなければなりません』
という言葉を添えてくれた。
もっともっとコーチングを続けて家庭の方針や価値観をより生徒の成長に繋がるものにしていきたいという気持ちはもちろんある。
しかし、あらゆる人に私たちのコーチング技術が通用するわけではないのも事実だ。
今はまだ受け入れ可能な生徒を選別する必要があるし、ぜひ入会してほしいという生徒で保留となっているのが2件あるのでそちらに力を注ぎたい。
それでも募集数・入会数ともに昨年比大幅減だ。
ここは見送る勇気を持って辛抱し、2学期にしっかり巻き返しを図ることが一番大切だと私は経営者として判断した。