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税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか⑱ 初めてのお客様の問い合わせはいつ?」

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

今回のポイント
 積極的に動いて状況を変える 

 

 

税理士の天海さんのアドバイスを受け、夏期講習会からの新規開校のために、残り2週間でできる限りの広告活動をしていこうと決めた私は、ターゲットとなる小学校・中学校・高校をリストアップしてそれを計画的に振り分けて、登校時に校門近くでハンディングを始めた。

 

ハンディングをしても生徒が全員受け取ってくれるわけではない。実はほんとんどの生徒が無視をして通過していってしまう。この時期はどこの学習塾でもハンディングを実施しており、夏期講習会先をすでに決めている生徒は受け取る必要がないし、勉強する気のない生徒は捨てるだけなので受け取らない。学年が下がれば下がるほど興味本位で受け取ってくれるのだが、実際のところ小学4年生未満だと家庭ではまだ夏期講習会に参加させることを検討していない場合がほとんどだ。しかし、まったく配布できずに終わるぐらいなら、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる可能性もあるので渡している。それでも配れる枚数は多くて100枚。厳しい地域では20枚くらいとなる。

 

ハンディングが終われば、その足で周辺の住宅にポスティングを行った。すべての住宅に入れていくのではなく、明らかに高齢者だけが住んでいるところは避け、子どもがいる雰囲気のところに限定した。マンションはそこまでの事情がわからないので、とりあえずすべてのポストに入れてみる。マンションだと口コミで一気に広がる可能性があるので期待大だ。

 

 

配布物については、単純にチラシだけだとインパクトがないので、もう一枚追加した。新しい教室の風景とともに、「無料体験」を盛り込んでいる。夏期講習会開始までに、2コマ(2時間)分の授業を無料で受けられるというものだ。これだと気軽に参加できるし、ここで気に入ってもらえれば夏期講習会へ繋げることができる。急遽の話ではあるが、教室はいつでも授業がスタートできる態勢が整っているので、思い切ってこのイベントを打ってみた。天海さんに指摘された通り、

 

今の自分にできることは

 

すべてやりきると腹は決まっている。

 

これによって広告宣伝費がさらに上乗せになってしまったが、刷り回しのコストだけで、配布はすべて自分でやっているので人件費はかかっていない。とにかく1人でも生徒が来ないと何も始まらないのだから、この投資は必要不可欠なものだと割り切ってもいた。

 

だからといってすぐに成果が出るわけでもなく、申し込みの電話の鳴らない日が続く。

 

しかし、この思いは必ず届くと信じて取り組みを続けた。ただ待っているだけでなく、実際に生徒に挨拶し、声をかけることができていることで手応えも感じ始めている。笑顔で受け取ってくれる生徒は確実にいるからだ。

 

待望の問い合わせの電話が鳴ったのは、そんな取り組みを始めて5日目のことだった。

 

 

相手は中学2年生の女子生徒。ハンディングを実施した中学校の生徒だ。部活優先の生活で勉強がおろそかになっており、中2になっていきなり難しくなってきた数学と理科で完全に躓いている状態。現在どこにも通塾しておらず、そもそも塾に通った経験がない。

 

まずは無料体験に参加してみたいということだったので、早速、翌日の部活後に来てもらうことになった。母親も一緒に来るということだったので、三者面談の形式で学習アドバイスもできるし、夏期講習会についての説明もじっくりできる。

 

ようやく動き出した。

 

自分が積極的に動いたからこそ、

 

状況は変わったのだ。

 

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