2024年冬期講習会の参加特典として期末テスト対策無料招待を開催した。
他県から進出してきた大手進学塾「清洲予備校」の無料講習会に対抗するための作戦である。
冬期講習会参加をいち早く決め、申込をした一般生は無料で対策を受けられる仕組みだ。
結果として講習会申込になったのは、中学1年生が1名、中学2年生が1名、中学3年生が2名。
わずか4名の申込に繋がっただけだった。
惨敗の原因は夏期講習会に参加した一般生が少なかったことだろう。
14名のうち3名が夏明け入会したので、11名しか残っていない。
しかし、分母が少ないにしても、そこから4名の申込しかないとは予想していなかった。
DMも事前に送り、電話で直接話をして参加を呼びかけたが保留という一般生が想定していた数より多い。
やはり清洲予備校の無料講習会に参加すべきか悩んでいるような様子だった。
昨年の冬期講習会は大好評で一般生の数は50名もいた。
オンライン生7名も含めると57名もの一般生が塾生に混じって講習会に参加してくれたのだ。
2024年夏の講習会は清洲予備校の影響があり、昨年比4割減の18名。
冬も同じく昨年比4割減であれば30名の一般生となるはずだが、現状4名となるとそれをさらに下回る可能性がある。
苦戦することは避けられないことがわかってはいたが、これは危機的状況になるかもしれない。
私は期末テスト対策が終了した後、顧問税理士の天海さんと夕食を共にしながら冬期講習会募集について相談をした。
「なるほど、4名の参加じゃったか、予想よりも少なかったのは確かじゃな」
「はい。夏期講習会の参加生11名は全員申込になって、さらにその友人まで輪を広げて20名近い申込を期待していただけにショックです」
「聞いたところによると清洲予備校も同日に期末テスト無料対策をぶつけてきたらしいの」
「さすがやり手の大手進学塾です。対応が柔軟で迅速ですね。実はYouTubeの講師紹介についても、こちらがアップした3日後には同じような内容の動画をアップしてきているんです。競合の情報収集にも力を入れています。かつてない苦戦を強いられそうです」
「経営者がそんな弱気な顔でどうするんじゃ。はじめさんの学習塾を慕って通ってくる塾生はたくさんおるし、検討中の一般生もまだまだいるんだから勝負はこれからじゃろう。有料で期末テスト対策に申込をした初参加生も5名いたそうじゃないか。そこから講習会申込に繋げていくこともできるぞ」
「それはそうなんですが・・・・・・ こちらの戦略がことごとく潰されている状態で、講習会生が2桁にもならないのではないかと不安いっぱいですよ」
「ネガティブ思考は経営者に必須な要素とはいえ、
それを周囲に悟らせては負の連鎖に陥る。
どんなに厳しい局面でも経営者たる者、
表面上は笑顔を絶やすことのないようにの」
「その余裕が今回は本当にないですね。正直、この先の春期講習会や新年度スタート人数もかなり厳しくなると覚悟しています」
「経営というものはどんな分野、どんなビジネスでも厳しい戦いは避けられないものじゃよ。世界大戦の最中にフランスの首相を務めたジョルジュ・クレマンソー氏の言葉に、
『勝利は苦戦のあとに来る』
とある。この苦戦を乗り越えてこそ次の勝利がやって来るんじゃ。
大切なことは次の勝利を信じて、
やるべきことを徹底してやれるかどうか。
そうあってこそ経営者は成功をつかみ取れる」
「信じてやれるかどうか・・・・・・ そうですね、まずは目の前の期末テストで塾生を成功に導くことに集中しなければ」
「そうじゃ。はじめさんの熱意はその取り組みを通じて必ず伝わるぞ」