2024年も残り数日、2025年はもう目前に迫ってきている。
冬期講習会が始まるまでにはと、今日は日々お世話になっている顧問税理士の天海さんを夕食にご招待した。
「今年も天海さんにたくさんのアドバイスをいただき、経営を続けていくことができました。ほんとうにありがとうございます!」
「それははじめさんが教育者として真摯に生徒や保護者と向き合ってきた成果じゃよ」
そう言って天海さんは優しく微笑んだ。
「起業して3年生き残れるのは50%と聞いていましたから、正直な話、よくここまでやってこれたなと信じられない思いです。天海さんの助けがなければ途中で挫折していたのは間違いないです。信頼できる専門家に巡り会うことは、起業を成功するためには絶対に必要な要素ですね」
「そう感じてもらえておるなら嬉しい限りじゃな」
「そこで早速ご相談なのですが、春まで怒濤のごとく進んでいきます。息つく暇もないほどの中、年末年始に経営者としてすべきことって何でしょうか」
天海さんは大好きな刺身を頬張りながら、
「冬は寒さで給湯器に不具合が起こりやすいからの、正月にお湯が出ないといったトラブルを回避するためにも事前チェックは大切」
その答えに私も頬が崩れた。
「天海さんが冗談をおっしゃるとは珍しいですね」
「どんなに忙しくとも経営者には心の余裕が必要。特に今年は正月返上で中学受験特訓会を開催するのだろう、身体を壊さないかの方が心配じゃよ」
「石川にも手伝ってもらう予定でしたが、いろいろあって今回は自分ひとりで対応することにしました。オンライン生のみですから自宅からでもレッスンできますし、無理せず体調管理できそうです。それで実際のところ年末年始に何をすべきなのでしょう?」
「まあ、確定申告の準備はしておくべきじゃろうな」
「それはもちろんです。しかし、確定申告については天海さんにほとんどお願いしていますから、私としてはやることはないですよ」
「だとすれば
しっかり休養をとって、
風呂にゆっくり浸かりながらでも
未来への道のりを考えてみる
というのはどうじゃ」
「未来ですか・・・・・・ 来年度はかなり厳しい経営になるだろうと不安しかないです。未来を考えるとなんだか暗い年末年始になりそうな予感がします」
「どんな卓越した手腕を持つ経営者でも未来を確実に見通すことは困難じゃ。あくまでも願望といったところかの」
「楽観的に考えられるといろいろ浮かんできそうですが、なにせネガティブな性格なもので・・・・・・」
「楽観的な経営者は問題を見過ごしやすい。
リスク回避にはネガティブも必要。
その点も踏まえて
未来への道のりを考えてみるといい」
「何かコツはあるのでしょうか?」
「イギリスの政治家で首相も務めたウィンストン・チャーチル氏の言葉に、
『過去をより遠くまで振り返ることができれば、
未来もそれだけ遠くまで見渡せるだろう』
とある。この3年間を振り返って、先の3年間を想像してみるのもいいじゃろうし、キャリア全体を振り返ってさらに先を見渡してみるのもいいかもしれん」
「未来を見渡すためには過去を振り返ってみることが重要なんですね! 確かに困難を乗り越えてきた体験から活かせることがあるかもしれませんし、この状況を打破できる大切な要素を見落としているかもしれませんから、それに気づくことができるかもしれませんね」
「やれることはまだあるじゃろうし、やりぬかなければいけないことも改めて見つめ直せる。しっかり気持ちを切り替えて新年を迎えられるのが望ましいぞ」