日本海側は最長寒波、太平洋側は30年ぶりの小雨という厳しい中で2026年は1ヶ月が過ぎた。
受験シーズンまっただ中なのだが、今年は異例の衆議院選挙が重なり選挙カーからの威勢の良い声が響き渡っている。
今日は所用で外出したついでに、顧問税理士の天海さんの事務所に立ち寄った。
「2月に選挙とは珍しいの。おかげでずいぶん賑やかじゃわい」
「受験生からは、うるさくて集中して勉強できないという声も聞えてきますが・・・・・・、ひとまず中学受験は終了しましたので、あとは高校受験を残すのみです」
「わしは、はじめさんの学習塾で冬期講習会から3人目の入塾申込があったという声も耳にしたぞ」
「ええ、驚きました。またも中学2年生の男子の入塾です。トモキというサッカー部所属の生徒で、仲の良いシュン、マモルが3学期から入塾したのを見て決断したとのことでした。過去に何度も入塾を勧めてきたのですが、煮え切らない状態を続けていたので今回は伊達に担当してもらったんですよ」

「ほう、またあの男が成果をあげたわけか。冬期講習会が始まる前に宣言した入塾100%もいよいよ現実味を帯びてきたの」
「これはもうラッキーパンチではないと他の講師陣も気づいてきましたね。講習会前の三者面談時から練りに練られた伊達の戦略の成果です。すべての布石がきっちりと機能しています。わたしも長年塾講師をやってきましたが、ここまで見事に入塾活動をする人物は初めてですね。ほんとうに驚きました」
「石川さんの抜けた穴を埋めた以上の活躍ぶりじゃな。ピンチをチャンスに変えるとはまさにこのことじゃ」
「伊達という人材に巡り会えたのは幸運でした! 高い成功報酬を払って転職エージェントを活用した甲斐がありましたよ」
「世界トップクラスの資産家であり、Amazon.comの創設者であるジェフ・ベゾス氏の言葉にも
『組織の成功は人材の質で決まる』
とあるからの。あの男の器量を見抜いて起用したはじめさんの判断も見事なものじゃ」
「もし伊達がいなかったらと考えると背筋が寒くなる思いです。これから先はさらに人材獲得競争が過酷になっていくんでしょうね。2030年の日本では、600万人を超える働き手不足になるという予測があるそうです。石川のような事態は絶対に回避していかなければなりません」
「確かに良い人材が引き抜かれてしまってはたいへん。その点ではじめさんは何か思うところがありそうじゃな」
「最近の物価高は止まる気配がいっこうにありません。今回の衆議院選挙の争点も物価高対策が大きな関心を集めていました。賃上げの風潮は確実に強まっています」
「春闘の基本構想が発表されたが、
2026年の賃上げ目標は
中小企業規模で6%以上。
大企業との格差を埋めるためとはいえ、これはかなり高い目標じゃぞ」

「絶対に達成しなければいけない義務はありませんが、
賃上げに対応できない企業は
人材獲得競争に負けて
淘汰されていくのは間違いありません」
「その危機感を抱くのは経営者にとって重要。しかし、これ以上の価格転嫁は競合との兼ね合いで難しく、少子化の影響で売上も伸び悩むとなると、人件費の高騰が経営にダメージを与える側面もある」
「頭の痛い話ですよ。大企業は抱え込んでいる内部留保がありますからいくらでも対応できますが、中小企業はそうはいきませんからね。まさに死活問題です」
「中小企業の賃上げ対策に効果的な手法があるのじゃが、なんと認知率が半分、利用率は10%を切っておる」
「え!? いったいどんな手法ですか、ぜひ知りたいです!」
「よし、ではその話をしようかの」

