税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか㉖ 覚悟を決めてもトントン拍子に進まないとき」

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

今回のポイント
 我慢強く、時を待つ 

 

 

2学期が始まった。

 

しかし、デルタ株の感染拡大によって緊急事態宣言が延長、指定地域も拡大され、さらに子どもたちにも感染が広がっているため再開されない学校が増えてきている。完全に閉鎖している学校もあれば、時間を短縮して2学期の授業を始めている学校もあり、状況はバラバラだった。

 

たいへんな時期ではあるものの、自分にとっても正念場を迎えているので、学習塾を休校にすることはせず、万全な感染対策を行って運営を継続している。

 

不幸中の幸いなことに、塾生の5名は健康そのもので、2学期も元気に通ってくれていた。

 

 

中でも急激に学力を伸ばしているのが小5の女の子だ。

 

補強すべき内容が少なく、とても素直にこちらのアドバイスを聞いてくれるので、学習習慣もこの夏休みで完全に身についている。勉強をするのが大好きになったようで、扱う問題も応用問題が増えてきた。その変わりようには指導しているこちらも驚くばかりだった。

 

もちろん家庭のご両親もたいへん満足してくれていて、送迎の際にはいつも感謝の言葉をかけてくれた。両親に褒められ、認められてさらに子どもは頑張るようになる。

 

無理矢理やらされているのではなく、興味や好奇心から勉強しているので、さらに積極的に掘り下げようという貪欲さも見られた。

 

まさに最高の好循環だ。このサイクルに入った子どもは確実に伸びる。中学受験は無理そうなのでと諦めていたが、このままあと1年努力を継続していれば充分に合格圏に入ってくるだろう。

 

5名の生徒の中で一番期待を寄せているのが、この小5の女の子だった。

 

しかし、サプライズはいつも思ってもいないタイミングで急に起こる。

 

 

その日、小5の女の子の母親から電話があり、他県に引っ越すことが決まったと告げられたのだ。

 

転勤の時期ではないのだが、このコロナ禍で会社の仕組みもかなり変わっているらしい。子どもにとっても、両親にとっても、そして自分にとっても青天の霹靂だった。1ヶ月後には転校となることが決まってしまったのだ。もちろんこの学習塾には通えなくなる。

 

塾生数を増やしていこうとモチベーションを高めていたところに、最も順調に育っていた生徒の退塾。いろいろな面で大きなダメージである。

 

子ども自身が勉強へのやる気を失っての退塾意向であれば対処の仕方もあるのだが、この転校ばかりは何ともしようがない。さすがに父親に単身赴任してくださいとはお願いするわけにもいかないのだ。

 

そのことで落ち込んでいるところにちょうど顧問税理士の天海さんが顔を見に来てくれた。

 

こちらが出向かなくても、時々こうして会いに来てくれるところが天海さんの人間性を表している。

 

「そうか、それは残念じゃの・・・・・・」

 

「子どもも気に入ってくれているので、ギリギリまでは通ってくれるそうです。とは言っても、後3週間ぐらいのものですが」

 

私の落胆振りを見かねたのか、天海さんはこんな言葉をかけてくれた。

 

「儒家の第一人者として有名な孔子の言葉は、日本人にも大きな影響を与えておる。孔子の言葉を集めた『論語』を用いた戦国大名には信玄公がおった。家康公もそのひとりじゃ。孔子の残した言葉に、

 

遇と不遇とは時なり

 

というものがある。

 

誰にでもトントン拍子で進める時と、なかなかうまくいかない時があるものじゃ。

 

大切なのは、

 

この不遇な時に

 

うつむかずやれるべきことを行い、

 

流れが変わるのを

 

ジッと待てるかどうか。

 

そうすれば必ずまた良い流れが来る」

 

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