【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
新しい個別学習塾がこの夏、近所にオープンすることを知り、競合への対応が急務となったため、私は顧問税理士の天海さんにアドバイスを求めた。先方が無料の夏期講習会を開催してくるので、こちらも料金の値下げを行おうかと検討していたのだが、どうやら安易な作戦だったようで、やめておいた方がいいと釘を刺された。
代わりに受けたアドバイスが「サードプレイスとしてのサービスの充実」だった。生徒の満足度を高めるのが狙いだ。
サードプレイスを提唱したのは、アメリカの社会学者であるレイ・オルデンバーグ氏。自宅と学校・職場(競争社会)の往復でストレスを感じている人々が、
居心地が良く、
リラックスできる場所を
サードプレイスと呼んでいる。
サードプレイスにはもともと8つの特徴があり、定義もある程度決まっているようだが、アメリカと日本では文化が異なるため、サードプライスに求めるものも、提供するサービスもやや変わってきている。
その中から重要だと思われるポイントにまず注目してみると、
- 多種多様な人々から刺激を受けられる
- 会話を通して人生観を構築できる
- 近所にあってどんな時間でも利用できる
- 常連がそこにいて活気づけられる
- ぬくもりと友情あるつきあいができる
- リラックスして安心感がある
成績を上げるという目標が学習塾にはある以上、ゲームのような楽しむ場所であったり、日常の規範から逃れるような感覚になれる場所という点には限度がある。ただし勉強を楽しむことができれば、よりサードプレイスの定義を満たしていけるようになるだろう。
個別指導ということもあり、個が埋没しない環境になっているし、講師と生徒、休み時間には生徒同士の会話も気軽にできる。自習室を開放しているため、利用できる時間帯は柔軟だし、一緒に頑張れる仲間もいるので成長するための刺激もある。
そう考えると、サードプレイスとしての要素をいくつかすでに満たしていることに気がついた。もっと具体的に意識をして行動していけば、自宅や学校では感じられない充実感をもっと提供できるだろうし、それが競合との大きな差別化になる。
不足している部分はどこだろうか?
授業を妨害したり、自習室の雰囲気を壊すような塾生はいない。過去のケーススタディーから、そういった生徒が現れた場合の対応もできるようになっている。だが、もっといい意味でリラックスさせ、安心感を与えることはできるのではないだろうか。もちろん適度な緊張感を維持しつつの話ではあるのだが・・・・・・
そういえば、天海さんが興味深いことを言っていた。子どもは1日に400回ほど笑うのに対し、大人はたった15回未満。年を取ると自然と笑顔は減っていくらしい。
笑顔は脳内の幸せホルモン
(セロトニン)を分泌し、
ストレスを解消する効果が期待できるし、
笑顔は伝染するとも言う。
さらに、笑顔には相手の警戒心を和らげる効果があるし、生徒が自分を表現しやすくもなる。
自分を含めた講師たちがもっと笑顔を増やしていく必要があるのではないだろうか。振り返ってみると難しい顔をしていることが多かったような気がする。どちらかというと生徒の笑顔に引っ張られている感じかもしれない。
とてもシンプルな話にはなるが、
まずは自らの笑顔を増やしていくことで、
サードプレイスとしてのサービスを
さらに充実できるはずだ。
これは今すぐにでも始めていかなければならない。