税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか83 信頼関係構築のためのコツ」

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

今回のポイント
 まず自分から好きになる 

 

 

10月も中旬に入ると朝晩はぐっと冷え込む。受験生にとってこの季節の変わり目を無事に乗り超えることは重要だ。受験本番に向けて体調を維持し、これまでの勉強をしっかり継続していくことが、一番の目標になってくる。

 

ただし、それは現状の学力が合格圏内に入っている生徒にとっての話で、圏外の生徒はより一層の努力が要求される過酷な時期だ。合格圏内の生徒と同じ努力では差は埋まらない。特に今回入塾を許可したオンライン生は、目標を達成するためには誰よりも努力する必要があった。石川の担当する小学校6年生のことである。

 

はたして、ここまで学力が伸びないことを塾や手法のせいにして、塾・家庭教師・オンライン授業などを転々としてきた生徒が、心を入れ替えてそのような努力をできるものだろうか?

 

 

しかも担当する石川は現役の大学生で、指導経験の浅い学生アルバイト講師である。本人の話を聴く限り、「可能性はある」、「できるだけのことをしてあげたい」という思いの強さが伝わってはきたが、肝心の生徒がその期待に応えてくれるだけの取り組みをするのかは甚だ疑問が残った。

 

そもそも対面授業と異なり、オンライン授業はモニター越しでのレッスンや会話になるため、どうしても信頼関係の構築が難しい。しかし、中高一貫校の受験までは3ヶ月から4ヶ月しか猶予がなく、知識をガンガン詰め込み、そのアウトプットをひたすらこなしくいくしかないだろう。無理をすると人間関係に破綻をきたす。個別指導は信頼が命綱だ。それがなければ生徒のやる気はぷつりと切れる。そうなるとどれだけの時間のレッスンを行っても効果は期待できない。

 

レッスンスタートから最初の1週間、国算社理の4科目で毎日4時間のレッスン。そして膨大な量の宿題。それも翌日までに取り組む必要がある。自転車の漕ぎ出しでスタートに一番力が必要になり、勢いに乗ればスイスイ行くのが一般的な話だが、さすがに今回ばかりはスタートのペダルが重すぎる。いくら漕いでも前に進まない。

 

私は十中八九、この生徒は1週間でギブアップするだろうと予想していた。これまで私が指導してきた生徒の中で、ここまで過酷なカリキュラムについてこれた生徒はいなかったからだ。

 

日々、石川からその日のレッスン状況について細かく報告を受けた。石川には自宅からオンライン授業を行ってもらうという選択肢もあったのだが、働いている様子を確認できず、セキュリティなどの問題もあるので、校舎まで毎日来てもらっている。

 

石川の報告からは、「どこが弱点なのか」、「どこをどこまで掘り下げて説明をしていく必要があるのか」、「宿題の取り組みはどうなのか」、「家庭の協力はどれくらいか」、「本人の様子はどうなのか」、そして「どういった声がけに嬉しそうにするのか」まで把握することができた。

 

予想に反してこの生徒はめげない。明らかに必死になってついてこようとしているのがわかった。

 

いったいどんな魔法を石川は使ったというのか?

 

それを問うと、石川は笑顔で即答した。その内容はちょうど顧問税理士である天海さんから受けたアドバイスと同じものだった。

 

天台宗の瀬戸内寂聴氏の言葉だ。

 

 

人とつきあうのに

 

秘訣があるとすれば、

 

それはまずこちらが

 

相手を好きになってしまうこと

 

ではないでしょうか

 

それが信頼関係構築にとっての土台になることを石川は経験から知っていたのだ。このとき私は、学生アルバイト講師の中で石川がダントツで生徒から人気がある理由がよくわかった気がした。

 

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