【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
11月も気づけばもう後半にさしかかってきた。
やるべきこと、やりたいことが多すぎて1日24時間では足りないという思いが込み上げてくる。
顧問税理士の天海さんに定期的に相談させてもらえなかったら、忙しすぎて頭の中がショートしてしまっているだろう。
優先順位が高い項目の中で今、一番力を入れているのが、塾生数が圧倒的に少ない中学2年生の獲得だ。
意識の高い生徒はすでに他塾に流れてしまっており、そこからの引き抜きはかなり厳しい。
親身な対応をしてくれる個別塾として口コミで評判は上々だが、なにせ実績が乏しい。
今年の受験生の結果を大々的にアピールして、実績面でも信頼してくれるように持っていきたいが、中学3年生の入試結果が判明するのはまだまだ数ヶ月先の話。
数ヶ月後も黙って待っているわけにはいかない。
ここは先手・先手で動くしかないのだ。
天海さんからアドバイスを受けたのは市場調査と潜在顧客の掘り起こし。
潜在顧客とは、まだ私の学習塾のサービスを知らないだけでなく、そのニーズにも気づいていない層のことで、調べてみると市場全体の5割以上を占めている。
この層を少しでも動かせられれば、状況は大きく変わるだろう。
ニーズにも気づいていないということは、塾に通って受験勉強をするどころか、冬期講習会に参加して勉強の質を高めようという意識もないということだ。
対象数は多いものの、ここを動かすには工夫が必要不可欠。
ということで、以前中学1年生向けに行ったイベントを成功体験としてアレンジして開催していくことにした。
無料体験会の開催だ。
無料体験階を実施している学習塾はいくらでもあるので、単なる定期試験の対策会では生徒は集まらないだろう。
参加した後に、実際に「この塾の冬期講習会に参加したい」、「通塾したい」という気持ちに生徒がなった時、即決断してもらうためにも親子で参加してもらうのが一番だ。
まだ気づいていないニーズ、そして競合との差別化、潜在顧客をさらに絞り込んでのターゲットの明確化・・・・・・
「そもそも受験とは何なのか」
「受験の仕組みやどんな勉強の習慣が必要になるのか」、
「行きたい高校に合格するために個別指導でどんなアドバイスをしてくれるのか」
それを生徒にも家庭にも知ってもらう「受験生になる前に知っておくべきことの説明会」だったらどうだろうか?
少ないながらもいる中学2年生の塾生には友達を連れてきてもらおう。
無料のイベントなので誘いやすい。
説明は30分、パワーポイントで準備したもので話を進め、その後の30分で実際に昨年の入試問題の数学を解いてもらい、30分で解説。
数学だと現在のカリキュラムで解ける問題はおよそ5割。
ちょうどいい時間だ。
後は開催をホームページやSNSで告知するだけでなく、学校前のハンディングやポスティングで伝えていく。
塾生の中学3年生には塾に通っていない後輩にそのビラを手渡ししてもらおう。
遅くても12月の1週目には開催したい。
早速、天海にその内容を報告。
「やはり受験というのが大事なキーワードになるんじゃの。興味を持ってもらうためにはやむを得ぬか。しかし、
無料のイベントだからといって
手を抜いて準備したのでは、
逆効果にもなる。
告知や開催時にもできるだけ多くの学生アルバイト講師に協力をしてもらうことじゃな。無論人件費もかかる。ニトリ創業者の
似鳥昭雄氏の言葉には
『成功の秘訣は、
顧客の為なら喜んで
損をする覚悟にあり』
というものがある。どんなに忙しくても時間を割いて参加して良かったと思えるイベントにすることじゃ」