2022年もいよいよ師走。
勝負の時期が始まった。
ここからの取り組みが成功するか失敗するかで、来年度の塾生数が決まる。
まずは中学2年生に向けた受験説明会。
生徒や保護者に向けた説明は短くし、個別指導の塾らしさを発揮するため、すべての学生アルバイト講師に集まってもらい、個別に数学指導を行った。
用意した問題は受験問題の計算と図形単元。
特に図形は苦手意識を強く持っている生徒が多いが、説明を上手くすれば生徒が思っている以上に簡単に解ける。
「なるほど!」と生徒に思わせること。
「この子、意外にやればできるのかも」と保護者に思ってもらえること。
そして、両者に「やればできる」という希望を持ってもらうこと。
これがこの説明会のコンセプトだ。
集まった生徒の学力はバラバラなので、生徒に合わせた問題をチョイスして解かせる。
プリントの残った問題はお土産としてプレゼントという形式にしたので、無理にどんどん進めていく必要はない。
とにかく今までまったく理解できなかった問題を理解できるようにし、正解して自信をつけさせることができればOKなので、日ごろ算数や数学を担当していない学生アルバイト講師も対応は可能。
この日参加した生徒全員に「できた」「わかった」を実感してもらった後で、少しだけ全体に向けた説明を入れる。
それは「受験のために」ではなく、将来のために「受験勉強することの大事さ」を語る時間にした。
自立して大人になり、社会に貢献する仕事をしていくためには、努力することの大切さやその喜びを今の時期に感じてほしいということ。
できないことをできるようにするために、どんな習慣を身につけなければならないのか、どんな意識で取り組むべきなのか、これは社会人になっても通用する力になる。
最後に生徒や保護者にアンケートを記入してもらい説明会は終了。
しっかりと挨拶を交して見送った後に、緊張しながらそのアンケートに目を通した。
どの生徒、どの保護者にもアンケートには感謝の言葉がつづられていた。
さらに、冬期講習会に参加する気持ちはあるのかどうかを問う項目には、参加を検討する、参加したいにマルが付いていた。
これは大成功といってもいいだろう。
少なくとも潜在顧客の眠っているニーズを
目覚めさせることに成功したのだ。
このマーケットは大きい。
ここに食い込んでいくことができれば、来年度はさらに飛躍の年になるはずだ。
私は早速、顧問税理士の天海さんに状況を連絡した。
「それは、それは」
電話の向こうで喜んでくれている天海さんの声が聞こえてきた。
「ちょうど今、世界ではサッカーのワールドカップの話で持ちきりじゃが、強いチームは細かいパスを素早く繋いで守備陣から攻め上がっていく組み立てが上手いのー。
日本もドイツ戦やスペイン戦の後半はそうじゃった。ロングパス一発で点を取りにいこうとするよりもゴールできる確率が高い。ビルドアップという戦術じゃそうだ」
「なるほど。つまり私たちもここで焦って一気に入会へプッシュするのではなく、
ここを足場にしてアプローチの機会を増やし、
個別の学習面談を行ったり、
冬期講習会に参加してもらったりと、
少しずつビルドアップしていった方が
いいということですね」
「無論、シュートチャンスがあれば
逃さぬことも大事。
ビルドアップには、
それぞれが自分の役割と状況を理解し、
目的達成のために素早く
臨機応変な対応をすることが、
全員の講師に求められることになるの」
「善は急げです。生徒も保護者も気持ちが高まっている今がチャンスですので、まずは今回の説明会に参加していただいた御礼電話から始めていきます!」