2022年も残すところあとわずか。
12月下旬から始まる冬期講習会の準備が急ピッチで進んでいる。
生徒の個別のカリキュラムの作成にしても、そのレッスンを担当する学生アルバイト講師のシフト決めにしても地味に時間がかかる。
ただし、嬉しい悲鳴を上げられているのは、冬期講習会の募集が思った以上に盛況だからだ。
先日行った説明会からの誘導で、中学2年生の冬期講習会参加が6名となった。
受験を控えた中学3年生はもともと塾生数が多く、その塾生たちの成績の伸びが評判となり、なんと17名の受付となっている。
その他、中学1年生で5名、小学生6年生・小学5年生共に3名と、一般性の受付が総勢34名という好調ぶりだ。
オンラインの中学受験生の対応も手厚くしなければならないので、学生アルバイト講師にはフルタイムで働いてもらう必要があるだろう。
塾生を含めると100名以上の生徒が私の学習塾で講習会を受講するということだ!
しかも嬉しいことに、今回初参加してくれる生徒の中には塾生の兄弟が多い。
保護者からは「上の子がとても喜んで通っているのを見て、下の子も通ってみたいというようになった」という心の底から歓喜する言葉が寄せられている。
これは確実に通ってくれている家庭から信頼され、高い評価を受けている証だ。
でなければ2人分の講習会費用を支払おうとは考えないだろう。
私は今年お世話になった御礼のために顧問税理士の天海さんを夕食にご招待しようと考え、まずはその日程調整のために事務所に電話をしてみた。
「それは嬉しいお誘いじゃな。ぜひ、ご一緒させてもらおうかの」
「では来週にも早速そういった席を設けさせていただきます。天海さんにはとてもお世話になっていますので、ぜひ私たちの忘年会にご参加ください。学生アルバイト講師たちも皆、天海さんに会ってみたいと言っていますよ」
「そうか、それは嬉しい話じゃな。話は戻るが、兄弟で通塾してくれるというのはありがたいことじゃ。特にここ最近は物価上昇で家計のやりくりも苦しいじゃろうに」
「私も同じ事を考えていました。この評判を作り上げてくれたのはなんといっても生徒の頑張りです。そう考えると、兄弟生の講習会受講や通塾については割引きにしてもいいのではないかと思います。思い切って兄弟生は講習会費用も通塾費用も半額にしようかと」
「はじめさんのそういった謙虚な姿勢はとても大事なことじゃ。ここまで苦労を重ねて掴み取った成果なのだからもっとおごり高ぶっていてもおかしくはないが、そうならないところがはじめさんの経営者としての器量の大きさを示しているの」
「いえいえ、そんな・・・・・・ 実際に自分独りでしたらこんな成果はあげられていません。それは自分自身が十分よくわかっています。天海さんには毎回貴重なアドバイスをいただいていますし、学生アルバイト講師もいつも全力で生徒に向き合ってくれています。そして何より生徒たちが自分たちのアドバイスを素直に受け止め、努力を継続してくれているんです。そのおかげで今があると思えば、おごり高ぶるなんてとてもできませんよ」
「ウム。立派な心がけじゃ。その昔、強国に挟まれ、相手方に人質に出されるほどの経験までした後、そこからおよそ250年続く天下を治める礎を築いた家康公はこう言っておった。
『天下は天下の人の天下にして、
我一人の天下と思うべからず』、
さらに
『我独り出頭して、
一人して事を埒明けたがるように致す、
これ大いなる病なり』
とな。満足する成果をあげたときこそ周囲への感謝の気持ちを持ち、それを真っ先に伝えていくことが今後のさらなる発展に繋がっていくのじゃろう」