【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
毎年よく耳にするのが、「1月は行き、2月は逃げ、3月は去る」という言葉だが、今年も例外ではない。
2023年に突入したかと思ったら、もう3月だ。
季節は春。
気温が20℃を上回る日も珍しくなくなってきた。
そんな中、あれもこれもと様々な準備をしていると1日は一瞬で過ぎ去る。
しかも休日なしの状態で働いていてこの状態だから、これでまともに休んでいたらとても私の学習塾は回らないだろう。
とはいえ、1日の中で休憩する時間は必要。
外出して美味しい料理でも食べたいのだが、そこまで時間に余裕がない。
ただし、今の時代はUber Eatsというデリバリーサービスがある。
食べたいものを買いに行ったり、食べに行ったりせず、この場所を移動することなく食べられるというとても便利なサービスだ。
和食は当たり前のこと、イタリアン、中華、フレンチ、メキシコ料理と何でも選びたい放題。
ちなみに今日はビビンバを食べたい気分だったので、韓国料理に決めた。
仕事で忙しい中、お店への往復に時間を割くことなく、食べたいものが食べられることだけでも私はたいへん満足しているのだが、Uber Eatsはさらにそこにプラスαのサービスを加えている。
それは配達員が今どこにいるのかをスマホのアプリを利用することが簡単に確認できる点だ。
デリバリーだと、なかなか頼んだ商品が届かないので何をしているのかともどかしくなり、わざわざ電話をしていつ届くのか再確認することがあった。
しかし、Uber Eatsはタイムリーに配達員の位置が把握できるので、到着時間も予測がつく。
その間に済ませることのできる仕事を選んで進めておけば、さらに時間を有意義に使えるのだ。
私のように超多忙な人間にとってこのサービスはかなり嬉しい。
こういった工夫ひとつでも、顧客感動(Customer Delghit)を生み出すことができるということだ。
夜になって少し時間が空いたので、顧問税理士の天海さんに電話して、自然とそんな話になった。
最近はいかにして顧客感動を生み出すことができるのかに最も関心を寄せているので、ついついその話題になりがちだ。
「ほうほう、はじめさんの視点は経営者にとってはとても重要じゃの。それはCustomer Experienceというものじゃ」
カスタマーエクス・・・・・・ なんですかそれは?」
「顧客体験(CX)とも呼んでおるの。顧客が実際に提供したサービスについてどんな評価を下すのかという視点じゃよ」
「逆にお客様の立場になって、自分の会社がどれだけ満足させられるサービスを実践できているのか、追求していくわけですね」
「顧客体験で得た視点によってサービスをさらに改善していくことができる。さらに顧客にアンケートを実施して改善点を探したり、時にはクレームを受け止めて商品を改めて製造し直し売上をアップした企業もある。カルビーの減塩商品はまさにクレームから生み出された代表格じゃ」
「お客様の視点に立って、
その要望について対応を考えていく。
それも顧客感動に繋がる手段なのですね。
しかし、わがままなクレームも多くある中で、それを吸い上げるのはたいへんですね」
「その見極めも経営者の手腕が問われるところじゃの。嫌がらせのようなクレームについては該当せんが、より良いサービスを求める指摘にはしっかりと耳を傾ける必要があるじゃろう。世界的に有名なウェディングドレスデザイナーである桂由美氏の言葉には、こういったものがあるぞ。
『お客様のわがままから
ヒットの花が咲く』
顧客体験を重視した大切な考え方ではないかの」