4月、5月は塾業界に身を置く我々にとって唯一のゆっくりできる時期だ。
それぞれの塾講師が「やるべきこと」、「やりたいこと」、いろいろなことに取り組める大切な時間。
私としては、ここ最近ほぼ毎日のように顧問税理士の天海さんと昼食を共にしている。
天海さんとのお喋りはやりたいことのひとつだが、やるべきことも整理でき、学びの場としてとても貴重だ。
今日は天海さんの希望で懐石料理である。
「私事なんですけど、やらなければならないことのひとつに自宅の給湯器の交換がありまして、ようやく昨日、交換工事が無事に終了しました」
「確かはじめさんの住宅はオール電化じゃったな」
「はい。今までは電気温水器を使っていたのですが、耐用年数もかなり過ぎまして故障も目立ってきたので、エコキュートに交換することにしたんですよ」
「省エネ給湯器か。光熱費はどれくらい軽減できるんじゃ?」
「メーカーのアナウンスによるとランニングコストは電気温水器の頃の1/4になるそうです。5月からは電気料金もさらに高くなりますから、省エネ効果に期待しています」
「しかし、イニシャルコスト(初期費用)は高いじゃろう」
「ええ。これがまた購入先によって価格差が大きくて困りました。同じ製品でもホームセンターだと100万円ちかくいくのに、専門業者だと50万円くらいなんです」
「本体価格だけではなく、工事費や撤去費などもかかるからの。下請け業者に依頼すればマージンがかかって高くもなる。そういえば国の補助金制度も利用できるんじゃなかったか」
「3省協同による住宅省エネ2025キャンペーンがようやく本決まりして、補助金額も正式に発表となりました。エコキュートは給湯省エネ2025事業で10万円以上の補助金が交付されます」
「確か電気温水器の撤去補助もしてくれるんじゃったな」
「加算額が4万円ですね。おかげで17万円も補助金が受けられました。しかし、今回の購入にあたっては感じる部分がいろいろありましたよ。最終的に2つの業者に絞って見積りを出してもらったんですが、これがまた対称的で」
「ほう。複数の見積りを比較するのは大事なことじゃな」
「メーカーは違う製品なんですが、本体の希望小売価格はほぼ一緒なんです。見積りを出してもらう日を同じに設定してみたらサービスの質の違いが歴然でした。一方はいろいろ質問してきて、ヒートポンプユニットの設置場所までの距離を測ったりとしてくれたんですが、後から北もう一方は来るはずだった業者の方が来ずにメーカーの人が来て一方的に見積書を渡して帰っていったんですよ。設置場所すら確認しないで、とにかくこの料金だと」
「それはまたずいぶんと違うの」
「地方の補助金についても私自身で調べていましたが、念のために直接聞いて確認してみると、後から来た方の情報が間違っていたんです。とても信用できないですし、先に来た業者はその後も親身に連絡くれますのでこちらにお願いすることに決めました」
「いつもは経営者の立場での視点じゃろうから、
顧客の立場で見てみると学べることも多かろう」
「そうですね。これだけサービスの質が違うと逆に料金が高くてもお願いしますね。やはり信用度はとても重要だと感じました。サービスを提供している側が、競合とこれだけのサービスの質の違いに気づいていないことも驚きでしたね」
「他業種から学ぶ点は多いが、気づかぬ経営者も多い。それには若さが必要じゃからな。フォード・モーターの設立者であるヘンリー・フォード氏の言葉を借りると、
『20歳だろうが80歳だろうが、
とにかく学ぶことをやめてしまったものは老人である。
学びを続けるものはみな若い。
人生において一番大切なことは、
頭を若く保つことだ』
という話じゃの」