【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
気がつけばあっという間に夏期講習会がスタート!
昨年は開校時期ということもあり総勢5名という寂しい夏期講習会だったが、今年は塾生だけで20名、加えて講習会生25名と盛況な状態で開催することができた。
この1年間の取り組みが評判に繋がっていることが実感でき、感謝の気持ちと充実感でいっぱいだ。だが、もちろん大切なのはこれから。この夏期講習会で勉強の楽しさを少しでも感じてもらい、今まで以上の勉強の習慣を身につけ、成績を伸ばす必要がある。そしてさらにやる気のある塾生を増やしていきたい。
夏期講習会に参加する生徒の数が増えたことに比例し、学生アルバイト講師の数も増えた。新しく6人の講師を加え、忙しい時間帯では同時に5人の講師が対応することもある。指導経験者が多いことから、知識やスキルの面では心配はしていないが、問題は生徒との相性だ。
今回、顧問税理士の天海さんのアドバイスによって、明確な企業理念を定めた。
「成長する喜びを感じながら自立できる人材を育てるため、生徒ひとりひとりのやる気を引き出す」
これが講師全員で共有するマインドになる。教え方がいくら上手くても、生徒のやる気を引き出せないのであれば、同じ目標に向かって仕事ができていないということだ。
天海さんから聞いた営業のコツで、松下幸之助さんの言葉がある。
『一方はこれで十分だと考えるが、
もう一方は、
まだ足りないかもしれないと考える。
そうしたいわば紙一枚の差が、
大きな成果の違いを生む』。
この考え方で6人の新人講師の育成を行っていく。
事前の研修、
そして夏期講習会1日目、
2日目の生徒対応への様子を見ていて、
気づいたことは、
タイムリーに伝えていくことにした。
ひとりの男性講師は、確かに授業はわかりやすい。生徒への声がけもこまめだ。しかし、髪型がボサボサで、よく見ると、服装に汚れがあり、爪も伸びている。清潔感はかなりマイナスで、これでは印象が良くない。特に私の学習塾は女子生徒が多いので、こういった点も重要である。ここは即改善してもらった。
また、他の女性講師について気になったのは、実際に夏期講習会が始まってみて、滅多に生徒の名前を呼ばないという点だった。信頼関係を向上するためには、相手の名前を呼ぶことは大切だ。無理に下の名前で呼ぶ必要はないが、苗字で「○○さん」と名前を呼ぶ回数を増やしていくよう指摘した。
一番の経歴を持っている男性講師は、とにかくネガティブな発言が多い。人間はマイナスのことばかりを話す人より、プラスのことを話す人と一緒にいたいと思うので、ここは生徒を褒める視点を持つなどして、ポジティブな言葉を多くするように意識してもらった。
一番経験のない女性講師は、自信がないからなのか元気がない。生徒のやる気を引き出すためには、まず講師側がやる気を示す必要がある。多少わかりにくい説明だったとしても、元気いっぱいに話すことで、生徒への伝わり方や理解しようという気持ちは変わってくる。この女性講師とは、もっと大きな声を出すことと、表情豊かに相手と話すことを練習した。
塾講師には営業力が確実に求められる。「もっと一緒に勉強したい」、「もっとこの先生の授業を受けてみたい」、そう生徒に思わせられるかどうか、そこにはいろいろな要素が必要になってくる。
わかりやすい授業を提供することだけでなく、
身だしなみやしゃべり方といった点も
磨いていかなければならない。