※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。
マモル「先輩! ついに僕は決断しました!」
ショウ「おお、また、随分と気合が入ってるな。なんだ、何を決断したんだ?」
マモル「僕もコンサルタントとして、もっと多くの人たちの手助けをして、もっと社会に貢献したいという気持ちが強くなりました」
ショウ「そうか、人生の目的が定まってきたんだな。でも、個人でやっている限りは、これ以上仕事を増やすことは難しいんじゃないのか?」
マモル「そうなんです。土日もなく仕事してきましたからね。僕自身の仕事量を増やすことはできないです」
ショウ「ほう。ということは会社の規模を拡大して、従業員を雇うってことか」
マモル「はい。正直、従業員に支払う給与面までの余裕ができるか、やってみないとわからないんですが、前回、先輩から、金がないから何もできない人間は、金があっても何もできない人間である。という言葉を聞いて、資金は厳しい状態ですが、チャレンジしてみようかなと」
ショウ「そうか! 思い切った決断をしたな。やってやれないことはない。俺からも出来る限りアドバイスさせてもらうよ」
マモル「心強いです。ありがとうございます!」
ショウ「と、いうことは、銀行から融資を受けて、オフィスも借りてといった方向か?」
マモル「そうですね。どこまで融資が受けられるかはまだ微妙ですが、やるからには自宅を出て、集中してやります」
ショウ「従業員は何人くらい雇う予定なんだ?」
マモル「まずは3人。どういったスキルや経験を積んだ人を選ぶかは、明確になっていませんが、仕事の幅を広げられる人材を確保したいと考えています」
ショウ「それはまた、これまでとは大きく変わるな」
マモル「僕が独立する時、先輩は、フォード・モーター創設者のヘンリー・フォード氏の言葉を教えてくれたじゃないですか」
ショウ「ああ。そうだな…・・・」
マモル「尊敬するトーマス・エジゾン氏に励まされ、すぐに会社を設立した」
ショウ「まあ、その会社はすぐになくなったがな。不屈の魂で何度も立ち上がっているのが、ヘンリー・フォード氏だよ」
マモル「ヘンリー・フォード氏の言葉、『世の中には、いつも2通りの人間がいる。開拓する者と、ゆっくり進む者だ。ゆっくり進む者は、いつも開拓者を非難する』というものです」
ショウ「会社に勤めていた頃のマモルは、本当にマイペースだったからな。俺が独立して、会社を大きくしていくことに対して、やや冷ややかなまなざしだっただろ」
マモル「そうですね。あの頃は、自分と家族が将来の不安なく、食べていければそれでいいと思っていましたからね。リスクを怖れずどんどん進んで行く先輩に疑問を持っていました。でも、人生の目的を達成するためには、ゆっくりと進んでいる暇なんてないんだということを、最近は実感しています」
ショウ「マモルがそこまで積極的になるとは、驚き半分、嬉しさ半分だな」
マモル「これまでは、急ぎ過ぎて失敗することにも不安を感じていたんだと思います。独立してからは、なるべく失敗しないように、失敗しないようにって、かなり守りに入っていましたから。でも、失敗は成功の基だという話を聞いて、失敗を怖れてチャンレンジしないことの方が、失敗するよりも問題だと感じるようにもなってきました」
ショウ「そうか。マモルがいろいろ考えて決めたことだ。まずは迷わず進んでみろ。ただし、従業員を雇うことになるということは、リーダーとして人を育てる視点も大切になることを忘れるな。とても根気のいる取り組みになるだろう。その覚悟も必要だぞ」
マモル「わかりました!」