※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「こうしてマモルと直接話をしながら食事ができるのも、久しぶりだな」
マモル「そうですね。緊急事態宣言もあって自粛期間が長かったですから。でも年内はもう無理かなとも思っていたので、嬉しい誤算です」
ショウ「まさか、ただ会って、食事して、話をするだけのことが、こんなにも幸せなことだったとは……、コロナ禍前には思いもしなかった。当たり前だと感じていることに対して、俺たちは日ごろからもっと感謝するべきだな。今回の件で痛感したよ」
マモル「ただ、以前は当たり前だと思っていたことも、コロナ禍によって大きく様変わりしていますね。経済情勢自体もそうですが、経営スタイルや、マーケティングもまったく別物と考えた方が良さそうです」
ショウ「Withコロナで、世界中の生活様式がまったく違うものに変わるわけだからな。ロンドンじゃあ、交通手段はもっぱら自転車になったそうだ。海外旅行客も当分は増えないだろう。原油の需要の落ち込みはしばらく続きそうだ」
マモル「何かの需要が減ったということは、何かの需要は増えているんですよね。そこがやっぱり大きなビジネスチャンスですか」
ショウ「リモートワークだ、在宅でのテレビ会議だ、っていうのが盛んになって、パソコンを買え変えたり、オンライン用の設備を整えたりで、そういった電化製品の需要は増えただろう。独身者の在宅勤務者向けの宅配サービスも人気らしい。ゴルフ教室もオンラインで指導するサービスが主流になってくるんじゃないか。そう考えると、マーケティングが180度変わる業種も多いだろう」
マモル「金融緩和はまだまだ続きそうですから金利も安いですし、そういったアイディアがあれば、起業するには絶好の機会なのかもしれませんね。問題はどんなニーズが高まるのかという見極めですが」
ショウ「見極めはなかなか難しいぞ。決めてかかると全く逆に動く可能性だってある。どう変化しても柔軟に対応していくことが最大のリスクマネジメントなんじゃないか。そのためにはデジタルとアナログの両立といったことが大事だろう」
マモル「デジタルとアナログの両立ですか?」
ショウ「まあ、例えばだが、タスク管理だとすると、データを一元管理することもしつつ、手帳にメモを取ることもする。何が起きてもどちらでも対応できる準備だよ」
マモル「結構面倒ですね」
ショウ「柔軟に対応するってことは、機転を利かすだけではなく、手間がかかる努力も必要になる。そうやって初めて新しい環境に適応できるようになるんじゃないのか?進化論を提唱したイギリスの自然科学者のチャールズ・ダーウィン氏は環境の変化について、こう述べている。
『生き残ることのできる生きものは、
最も優れた生態能力を持った種族ではなく、
環境の変化に順応できる種族である』
とね。企業にとってはまさにそこを問われる時代に突入したのかもしれない。いくら資本のある大きな企業でも、または成功してきた企業であっても淘汰されていく可能性はあるし、逆に小さな企業でも生き残るチャンスはあるということだろう」
マモル「私たちコンサルタントも、これまでの成功体験に則したアドバイスだけでは、通用しませんね。まずは変化に対応できる組織作りや、育成が急務であることを伝えていくことになるのでしょうか」
ショウ「同時にアウトソーシングといった外部委託も積極的に行って、効率的に変化に対応していくことも重要だろう。それができれば今後起業する人たちにも充分チャンスはあるな」