※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「今週は何度か飲みに誘ったのに全部断られたな。このオンライン飲み会も参加しないのかと思ったぞ。マモル、体調でも悪いのか?」
マモル「ご心配をおかけして申し訳ありません。実は、今月に入って僕の会社が不調続きでして…… 新規の顧客獲得はゼロですし、お付き合いしてきたクライアントには2件ほど切られてしまいました。どちらもギリギリの人数で経営している会社で、何度もできる限りアウトソーシングを利用して効率性と質を高めるよう助言してきたんですが、聞き入れてもらえず、最終的にあらゆることが中途半端になってしまって破綻です」
ショウ「そうか。それはキツいな。それでマモルが体調を崩したわけか」
マモル「体調というか、メンタル面でやられましたね。従業員には弱っている姿は見せられないので、僕が励まして鼓舞しているものの、クライアントの会社を潰してしまったという思いが常にのしかかってきます」
ショウ「まあ、マモルが会社を潰したわけじゃないだろう。そこまで自分を責める必要はないぞ。アウトソーシングに任せられる部分は、そこを有効利用しようとアドバイスもしていたんだし。どうしても、あれもこれも自分でやりたいという経営者は、限界が生れるからな」
マモル「それは僕も実体験でわかっていただけに、経験談を含めて話をしてきたんですが、決意を変えることはできませんでした。もっと他に方法があったんじゃないのか、自分の力の至らなさのせいではないかと後悔することばかりです」
ショウ「ここ1年間でずいぶんと前向き思考になったと思っていたんで、こんなネガティブなマモルは久しぶりに見るよ」
マモル「従業員にも、今年の冬のボーナスはかなり我慢させてしまう結果になってしまいますからね。それもあって心が折れそうです……」
ショウ「人生、いいこともあれば悪いこともある。悪いことばかりが続くわけじゃない。マモルはクライアントのため、その会社の従業員や家族のために一生懸命やっている。それは充分に伝わっているだろう。そしてそんなマモルを信頼してくれているクライアントも他にたくさんいるんだ。マモルの会社の従業員もそうだ。だからこそ気持ちを切り替えて、反省を今後に活かしていくべきじゃないか」
マモル「そうですね……」
ショウ「運動して身体を動かすのもいいし、読書の秋だ、この機会に【鬼滅の刃】を読んでみるのはどうだ? 確かまだまったく読んでないんだろ?」
マモル「ええ。鬼滅の刃のフィーバーぶりは日本に留まらず欧米まで波及しているそうですが、僕はまだです」
ショウ「8巻の66話で、柱の煉獄杏寿郎が、挫折感に陥った主人公たちにこう伝えている。
『胸を張って生きろ』
そして
『己の弱さや不甲斐なさに
どれだけ打ちのめされようと、
心を燃やせ。
歯を食いしばって前を向け。
君が足を止めて蹲(うずくま)っても
時間の流れは止まってくれない』
とね。マモルにも情熱がある。崇高な志がある。だから、心を燃やせ」
マモル「どれだけ打ちのめされても心を燃やせか…… 確かに落胆し、悲しみに暮れて足が止まっていました。心の火も消えかかっていたのかもしれません。そうですね、自分で自分に火をつけないといけませんね」
ショウ「ちょうど今回の鬼滅の刃の映画のシーンだ。漫画を読んだり、アニメを見たら、この映画を観るといい。杏寿郎のメッセージに必ず力づけられるぞ」
マモル「杏寿郎がどんな人なのか、凄く興味が湧いてきました。気持ちを切り替えるうえでもぜひ読んでみます」