※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
マモル「プロ野球も無事にキャンプインができているようですね。毎年このニュースを聞くと春到来という気持ちになります」
ショウ「スポーツの大会もいろいろ開催されてきたな。コロナワクチン接種も開始が近いし、社会が少しずつ健全化に進んでいる気がしてきて、希望が湧いてくるよ」
マモル「僕たちがコロナワクチンを接種できるのは、5月以降ですね」
ショウ「EUをはじめとしてワクチン争奪戦が繰り広げられているから、実際のところいつになるかはわからんな。東京オリンピックが開催されることに決まっても、俺たちはワクチン接種できていないかもしれない」
マモル「東京オリンピックについては、思わぬところで世界的に注目されることになってしまいましたね。ひとつの失言が世界中でここまで大きな反響を呼ぶとは驚きでした」
ショウ「あれか…… 失言というより暴言だったな。完全に国内外の敵を増やした。東京オリンピック開催の可能性を自ら低下させてしまう結果になって、本人も大きな後悔をしているだろう」
マモル「SNSもこれだけ世界的に普及していますから、ニュースの拡散は凄まじいスピードですね。本当にあっという間に世界中に広がり、抗議のメッセージやハッシュダグがどんどん増えています」
ショウ「こういった情報伝達スピードは10年前や20年前とは大きな違いだ。SNSなどによって、口コミによる影響力が指数関数的に増えていくからな。だからこそビジネスの世界でもマーケティングではSNSの重要性が高まっている。一度注目されると、その広がりは爆発的だよ」
マモル「失言について批判されるのは当然ですが、この拡散の速さ、リアクションの大きさは正直怖いです」
ショウ「だからこそ謝罪会見で沈静化させることも可能だったわけだが、あの内容じゃ火に油だよ。謝罪会見する意図がよくわかっていない。誰を怒らせるのが一番怖いのかがわかっていないからだろう。政治家や官僚にはよくあるケースかもしれないな」
マモル「典型的なトップダウンの組織だと、権威や地位が上の人間の発言は絶対ですからね。そういった世界で生きていると、とにかく上を怒らせないことが重要で、上に謝罪することを優先するといった認識なのかもしれません」
ショウ「マモルは、戦国時代に豊臣秀吉に軍師として仕え、その秀吉に天下を奪われるのではないかと警戒された人物を知っているか?」
マモル「それって黒田官兵衛のことですか。以前に大河ドラマで観ました。キリシタン大名でもあったとか。神にも仕え、秀吉にも仕えていたということですよね」
ショウ「その黒田官兵衛氏の言葉に、誰を怒らせるのが最も怖いのかについて述べたものがある。
『神の罰より、主君の罰恐れるべし。
主君の罰より、臣下百姓の罰恐れるべし』
というものだ。神や主君は誤れば許してくれるが、民衆から恨まれると許されることがないから恐ろしいといっている。だからこそ民衆から恨まれるような罰は絶対に避けるようにということだな」
マモル「ビジネス世界でも当てはまることですね。グローバル化が加速している現代において、SNSもここまで普及したとなると、お客様に恨まれることだけは避けたいです」
ショウ「もちろん、お客様は神様ですといった文化も改善の余地はあるがな。理不尽な客に対して卑屈になる必要はない。大切なのは一般の客を侮辱したり、傷つけたりして憎まれることだけは慎むということだろう」
マモル「そうですね。その点は高い意識が必要ですね。僕の会社の今年のドラフト1位、2位にもしっかり伝えます」