※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『従業員のモチベーションアップ』になります。
ショウ「マモルから食事に誘ってくれるとは珍しいな」
マモル「いつも気にかけてくださって感謝しております。今日はそのお礼をかねて」
ショウ「こうやってジャズを聴きながら、スコッチウィスキーを飲んでいると安らぐよ」
マモル「僕はバーボンで」
ショウ「相変わらずのアメリカびいきだな。で? また何かトラブルでも?」
マモル「そんな毎度毎度トラブルに見舞われているわけじゃありませんよ。むしろ逆です」
ショウ「ほう。どんなことだい?」
マモル「今回、橋本さんのコーチングをアウトソーサーに依頼したところ、橋本さんだけでなく、職場の雰囲気もぐっと良くなったんですよ」
ショウ「ああ、前回そう言っていたな」
マモル「そういった仕組みが会社内に作れると、よりみんながパフォーマンスを発揮しやすくなるんじゃないかと思いまして」
ショウ「仕組み? コーチングを採り入れるってことか?」
マモル「それもあるかもしれませんが、他にもあるかもしれません。僕は給与が上がって、ボーナスをたくさんもらえれば、従業員のモチベーションは自動的に上がると思っていましたが、そうじゃなかった。今回の件で、それ以外の要素もかなり大きいことがわかりました」
ショウ「なるほど。従業員のモチベーションを高めるための組織のイノベーションというわけか」
マモル「イノベーションと言うと、少し大げさなような気もしますが」
ショウ「このご時世、アメとムチでの成果主義では従業員のモチベーションは高まらないということがわかっただろ」
マモル「以前、先輩がお話されていたとおりでした、ではこれから先、従業員のモチベーションを高めていくポイントは何ですか?」
ショウ「前に言ったように、自律性(オートノミー)じゃないか」
マモル「自律性…… そうか」
ショウ「思い切って、自由に好きな時に好きなように仕事をする仕組みはどうだ? マモルの好きなアメリカ流だな。それで大きな成果を出した企業はいくらでもある」
マモル「その場合、出勤時間も、退社時間も決まっていないんですか?」
ショウ「そりゃそうだろ。だって出社するかしないかも自由だからな」
マモル「それじゃあ、組織は崩壊しますよ。どこで誰が何をしているのかまったく把握できない。マネイジメントはどうなるんです?」
ショウ「監視し、統制するようなマネイジメントをしようとするから、従業員の自律性を低下させることになるのさ。マモルは。会社や上司が監視していないと従業員はさぼると思っているのか?」
マモル「断定はできませんが、その可能性はあるでしょう。それに、クライアントとの約束を忘れてしまっているかもしれません。いくら従業員のモチベーションを高めるためとはいえ、さすがにそのやり方は極端ですよ」
ショウ「だったら収まりがつくように制限をつけた仕組みを構築してみたらどうだ? 」
マモル「確かに、昨年の年末に先輩からそういったアドバイスを受けていました」
ショウ「それがこれから先、マモルの会社を成長させるイノベーションになるんじゃないか。マモルは、IDEOを知っているか?」
マモル「ええ。アメリカのデザインコンサルタント会社ですね」
ショウ「IDEOのゼネラルマネジャーを務めているトム・ケリー氏は、こう述べている。
『長期的に見れば、
イノベーションは安価だ。
凡庸に甘んじれば高くつく。
自律性がこれに対抗する手段になるだろう』とね」
マモル「うーん、自律性か…… 従業員のモチベーションを高めるためには、まずは経営者の僕が、もっと自律性について理解を深める必要がありますね。顧問税理士さんにもお話を聞いてみます」