※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「さて、じゃあ今日もマモルの会社の順風満帆ぶりについて聞かせてもらおうか」
マモル「いや、そんな特別なことはありませんが・・・・・・ 杉山と木梨さんの入籍が決まったことが一番のニュースですね」
ショウ「そうか。それはおめでとうとぜひ伝えてくれ。以前話をしたことだが、結婚してからうまくやっていくポイントは、片目は閉じることだということも改めて頼むぞ」
マモル「了解です。先輩のアドバイスはかなり腑に落ちたようで、ふたりともそのつもりのようです」
ショウ「だったら大丈夫そうだな。新婚旅行はどうするんだ? 10日間くらい海外にでも行くのか?」
マモル「あーと、それについては、ふたりがいなくなると会社がかなり厳しいことになってしまうので、後々再検討することになっています」
ショウ「なるほど。ただ、一生に一度のことだから、気持ちよく行かせてやるべきだな。まあ、俺は人生に二度ほど新婚旅行に行っているが・・・・・・」
マモル「そうですね。会社が忙しいからといって、新婚旅行にも行かせられないのは僕としても心外です。なんとかスケジュールを調整してみます。客足が戻ってきたのは嬉しいことなんですが、この仕事をうちの会社が受けるべきか悩む案件も増えてきましたので、取捨選択していった方がいいですね」
ショウ「ほう。じゃあ、せっかく訪ねてきてくれたお客さんを追い返すということか?」
マモル「追い返すというと聞こえは悪いですが、企業コンサルタントとしては優先順位を決めて対応させていただいた方がいいかなとは考えています」
ショウ「優先順位ねー。今後に繋がりそうな大きな会社の案件は受けるが、単発の小さな会社の案件は断るわけか」
マモル「ある程度、余裕があった方が提供できるサービスの質も維持できますし、ふたりに長期休暇を取らせてあげられますからね。別に小さな会社だから断るわけではありませんよ、それはうちじゃなくても対応可能かな、というか他にお願いした方がいいなと判断したものだけです」
ショウ「取るに足らない仕事だと判断したら、断って追い返すわけだな」
マモル「まあ・・・・・・ なんだか今日の先輩は棘がありますね。僕の考え方は間違っていますか?」
ショウ「さてどうかね。サンフランシスコの女性建築家で、800以上の建築に携わったジュリア・モーガン氏を知っているか?」
マモル「いえ、初めて聞く名前ですね。最近の方ですか?」
ショウ「第二次世界大戦の頃の人物だよ。彼女の言葉には、
『取るに足らないと思っても、
仕事をむげに断ってはいけない。
その仕事が何をもたらすか、
やってみなければわからないのですから』
というものがある」
マモル「仕事をむげに断ってはいけない、ですか」
ショウ「ああ、どこに、どんなチャンスが眠っているかわからないからな。効率性や損得勘定だけで判断していると、せっかくのチャンスを逃すことにもなりかねない。彼女はそうして大きな仕事を任されて名声を得ることになったんだ」
マモル「確かに会社の未来を考えると、断っていい案件などないかもしれません。客足が戻ってきたことで有頂天になっていました。改めてひとつひとつの案件に真摯に向き合います。仕方ないですね、ふたりには当分の間、新婚旅行は我慢してもらいます」
ショウ「そうでもないぞ。どちらもあきらめずに済む方法はあるだろう」
マモル「本当ですか? ぜひ、今日はそちらの話もお聞きしたいです。宜しくお願いします!」