※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「とりあえずこうしてゴルフする余裕がマモルにできて、良かったよ。ここんところ働きずくめだろう。久しぶりのラウンドじゃないのか?」
マモル「そうですね。橋本さんも退院して復活しましたし、木梨さんの体調も回復してメンバーが揃いましたから、少しだけ余裕が生れました」
ショウ「売り上げはどうだ?」
マモル「一時期は低迷していましたが、やはり人手が増えたことと、扱えるジャンルが増えたことで売り上げも回復しています。上田さんが積極的にERPの導入やCRM系ソリューションといったITファームを開拓してくれているのが大きいですね。橋本さんと杉山もそこから学ぶことがたくさんあり、どんどん吸収してくれて成長しています」
ショウ「上田のレンタル移籍は成果があったようだな。よかったよ。最後はやはり望月か」
マモル「その望月さんも今、新しいプロジェクトを率先して引っ張っていってくれています。他の従業員も自分のタスクをしっかり取り組みながら、望月さんのフォローをしている状態です」
ショウ「そうか! それじゃあ、マモルと杉山くんの働きがけの効果があったんだな。もう変わることはないと思っていたんだが」
マモル「相手を重要人物として接すること、これが望月さんには良い影響があったようです。対立していた杉山がそういった姿勢で望月さんに接したことが大きかったですね。今では互いに建設的な意見を言い合って、プロジェクトをブラッシュアップしていますよ。一番の協力者という関係になっています」
ショウ「それは驚きだな。やはりマモルが粘り強くいろいろな対応をしてくれたおかげか。どんな困難にも必ず突破口はあるとは言ったものの、それを信じてやり抜ける力は凄いな」
マモル「先輩に褒めていただけるとは恐縮です」
ショウ「言葉を理解することと、それを実際に実行するのは話が違うからな。行動することは勇気が必要だ。経営者として、望月のような仕事の向き合い方をする従業員にどう接するのか、見捨てることは簡単だが、粘り強く向き合うことの難しさはよくわかるから、なおさらマモルの導き出した成果は賞賛に値するな」
マモル「確かにここまでくるのに時間も費やしましたし、労力も割きましたが、それだけの価値はあったと思います。ここから一気に巻き返しますよ」
ショウ「今回のマモルを見続けていて、高いハードルに向き合う気持ちの持ち方には驚かされた。そしてドイツの哲学者であるフリードリッヒ・ニーチェ氏の言葉を思い出したよ」
マモル「高いハードルに向き合う気持ちの持ち方ですか? あきらめないことですか? でも望月さんのポテンシャルの高さはわかっていましたからね、望月さんがパフォーマンスを発揮できるようになれば、どんな成果が出せるようになるんだろうという期待感の方が、不安や憤りより強かったですよ」
ショウ「それだな。ニーチェ氏は登山に例えているが、
『登山の喜びは、
山頂に達したときに頂点となる。
しかし、私にとって、
いちばんの楽しみは険しい山脈をよじ登っているときである。
険しければ険しいほど、
心臓は高鳴り、勇気は鼓舞される』
と述べている。反骨精神というべきか、大きな困難に対してこういったポジティブな気持ちになれるからこそ、最後まで粘り強くいられるのだろうな」
マモル「まだまだ山頂までは険しい道のりが続くでしょうけど、今回の成功体験は僕にとっても、杉山にとっても、そして望月さん自身にとっても貴重なものになりましたね」