※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「いろいろあった1年だったが、こうしてマモルと無事に忘年会を行えて嬉しいかぎりだ。マモルの会社の従業員とも、もう忘年会をしたのか?」
マモル「はい。三日前に、みなさんの慰労と共に、橋本さんの送別会をかねて行いました。それぞれが今年の成果や反省点、来年の抱負を述べていましたよ」
ショウ「さすがマモルの会社の忘年会だな。いよいよ橋本さんは飛び立つときか…… まあ、年齢的にいうと巣立ちという表現を使うと失礼かもしれんが」
マモル「忘年会のときに橋本さんが僕にこう言っていました。経営者として独立するにあたって、数十年ぶりに初心に戻った気がすると。本人としても初めて飛び立つことへかなりの緊張感を持っているようです。まるで新入社員として初めて社会に飛び込んだときの気分だそうですから、先輩のおっしゃる通りの心境ではないでしょうか」
ショウ「年齢を問わず新しい世界への挑戦は期待と不安の中でのゼロからのスタートだからな。マモルが緊張しながら起業したのがつい先日のように思い出されるよ」
マモル「今もその緊張感はまったく抜けないんですけどね」
ショウ「適度な緊張感は大切だ。集中力を生み、パフォーマンスを発揮するのに不可欠だからな。マンネリ化したらどんどん力が発揮できなくなる」
マモル「橋本さんはこうも言っていました。初心に戻ったら、改めてこの仕事をする意義を考えるようになったと。僕がなぜコンサルタントの会社を起業しようと思ったのか、何が目的なのか、そんな質問もされましたね」
ショウ「根本的な問いだな。しかし、最も重要な点でもある。何ができるのかよりも、まず大切なことは何をしたいかだ。無理をして行動を続けていてもストレスが溜まり、疲れ果てていく一方だが、マインドが変われば自然と行動も変わるからな。行動を変えることよりも優先すべきはマインドを変えることだろう」
マモル「それは僕も起業前に先輩から何度もアドバイスを受けましたね。マーガレット・サッチャー氏の言葉が印象的です」
ショウ「イギリス初の女性首相になったサッチャー氏の言葉では、
『考えが変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命は変わる』
が有名だが、この言葉はヒンズー教の教えにも登場するし、アメリカの哲学者であるウィリアム・ジェームズ氏も同じことを述べている。マザーテレサ氏の言葉もまた同じ内容だな。生き方を変えたい、将来を変えたいのであれば、まずは、ゴールは何なのかを明確にすることだ。そうすれば行動目標はどんどん具体的になっていく。ポイントは、ただ成功したい、ただお金持ちになりたい、ただ楽しい生活をしたい、幸せになりたいという漠然とした目標にしないことだろう。コンサルタントとして起業して、どう社会に貢献したいのかまで掘り下げておく必要があるということだ」
マモル「そうですね。起業がゴールではないですからね。むしろ起業してからが本当のスタートです。今でも先輩にご紹介いただいた顧問税理士さんからも常にその点を念押ししていただいています。おかげでいい緊張感とモチベーションを保ちつつ経営できているのだと思います」
ショウ「これは以前に伝えた失敗の原因と通じる話だが、改めてなぜ起業して経営したいのかを橋本さんにもはっきりしてもらった方がいいだろう」
マモル「はい。そうします。これまで先輩に教えていただいたアドバイスを橋本さんにも伝えていくつもりです」