※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
マモル「先輩、お疲れ様です。この人気店がこんな簡単に予約が取れるなんて驚きですね」
ショウ「おお、マモル来たか、お疲れ様。まあ、時期が時期だけにどこもキャンセルが多いんだろう。到着が以外に早かったが、今日はどこかのクライアントと外で打ち合わせした後なのか?」
マモル「新卒採用を外部委託してくれる会社の担当者との打ち合わせです。以前お伝えしていたところで決めました」
ショウ「あの唇が美しいっていう担当者か?」
マモル「それだけ聞くと語弊がありますが…… まあ、そうですね」
ショウ「で、どうなんだ? マモルの意図をしっかりと汲み取ってくれている感じなのか?」
マモル「それが、なかなか白熱した話し合いになりまして…… 想定していた倍以上のの時間がかかりましたが、内容としては予定の半分までしか進みませんでしたよ。欲しい人材に出会うためにもSNSはもちろん駆使するんですが、本当に採用したい人材はいったいどこに集まっているのかとか。せっかく貴重な人材に巡り会ったのに、選考辞退されたり、他の就活を続けられてしまって結局は他の会社を選んでしまうことのないようにするためにはどうすればいいのかとか、いろいろなアドバイスやアイディアが出てくるんです。話をしていると、自分で新卒採用をしようとしていたら気づきもしなかったようなポイントがたくさんあることに驚きました」
ショウ「だったらアウトソーシングにして良かったということだろ。マモルが本当に採用したいという若者に巡り会える可能性が高まったんだから」
マモル「そうなでしょうが、ただ、お互いにこうした方がいい、ああした方がいいという意見が尽きなくてなかなか前進しないんですよね。担当者もかなり熱意に溢れている方なんで、僕が伝えた内容に対しても、こう考えたり、こうした方がいいと指摘が多くて受け入れてもらえないんです。そうするとこっちもムキになっちゃって、だんだん話し合いがヒートアップし過ぎているような気がします。納得できるものにしたいんで、僕も妥協はしたくないんですよ」
ショウ「会社の将来を担う大事な人材を確保するわけだから、それはそうだろう。打ち合わせに時間がかかるのは仕方のない話じゃないのか」
マモル「なんだかお互いの意見を衝突させているだけの、言い争いになっているのではないかという不安もあるんですよね。正直、耳が痛いアドバイスもあり、感情的になってしまっている部分もあります。これで本当にうまくいくのか不安になってしまいました」
ショウ「なるほど。それでなんだか腑に落ちない表情をしているわけか。まあ俺もどこまでその担当者のアドバイスが的確なのかはわからないが、イギリスの政治家フィリップ・チェスターフィールド氏の言葉にこんなものがある。
『忠告はめったに歓迎されない。
しかも、それをもっとも必要とする人が、
常にそれを敬遠する』
とね。マモルが、この担当者ならばと見込んだ相手だったら、その忠告は耳を傾けるに値するものかもしれないぞ。打ち合わせにあまり時間をかけたくないと焦っていたら、一方的に伝えたいことだけを話をするだけになってしまって、本当に達成したい成果を得られないじゃないか?」
マモル「そう言われてみると、確かにこうしてほしいというこっちの要求だけを伝えている気がします。担当者の方もその要求に応えたいために、様々な忠告をしてくれているのかもしれません。もっと冷静に話し合う必要がありますね。大事なことですから時間を惜しまず打ち合わせを続けます」