※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。
ショウ「どうしたマモル? また浮かない表情だなー。仕事で失敗でもしたのか?」
マモル「いえ、仕事の失敗に対しては、以前に先輩からアドバイスをいただいて、耐久力がつきましたよ。今では、失敗から目をそらさず、それを成功に繋げられるように改善することに集中できています」
ショウ「そうかい。それはたいしたものだ。で、今回はどうしたんだ? そうか、前回話をした人生の目的を思い悩んでいるのか?」
マモル「人生の目的はまだおぼろげですね。夢なき者に成功はなし、ですから、なるべく早く僕も自分の夢を明確にしたいんですが、なかなか見つかりません」
ショウ「それで落ち込んでるってことか?」
マモル「いえ、そういうわけでは…… 仮に何か夢や人生の目的が見つかった時に、今の僕にそれにチャレンジすることは可能なのかと考えて、ちょっと気分が滅入ってしまったんです」
ショウ「どういう意味だい?」
マモル「まあ、今は独立して、妻も子供も養うことはできていますが、決して余裕のある生活でもありません。子供の将来を考えて、ギリギリ貯金できているぐらいです。マイホームを購入したローンも35年払いですからね。先輩は、毎月お小遣いはどのくらいなんですか?」
ショウ「え? なんだよ藪から棒に。まあ、5万円くらいかな。独立してから社外の人との飲みが多くて、取引先との会食は会社の接待費として、経費で落としてるから、個人的に使うことが少なくなってきたかな」
マモル「僕は1万円ですよ。それだって切り詰めて、貯金してるぐらいですから。将来、もしものことを考えると、やっぱり不安になるんです」
ショウ「だから、その状況を改善するためにも、会社は少しでも大きくして、従業員を雇うぐらいにした方がいいんじゃないのか? きっと夢や人生の目的が見つかった時には、今の会社の規模では足らないだろう」
マモル「僕もそう考えました。すると、葛藤することになりまして」
ショウ「葛藤? あんまりたくさんの人たちと関わらずに、こじんまり経営していきたいというマモルのモットーとの葛藤かい?」
マモル「そうですね。できればあまり人とは関わりたくないです。でも先輩のアドバイスを聞いていて、多くの成功者の努力を知り、同じような目標に向って頑張っている人たちとの交流は大切かなと感じています。きっといい刺激になると思いますし」
ショウ「経営者としての自覚も芽生えてきたなー。俺も嬉しいよ。じゃあ、問題はないだろう」
マモル「しかし、現実問題、何か新しいことを始めるとなると、お金がかかるじゃないですか」
ショウ「それは、会社への先行投資にしても、自分を磨く投資にしても、それなりの費用はかかってくるだろうな。ああ、なるほど。お金の心配をしているのか。お金がないから人生の目的が見つかってもチャレンジできないということか」
マモル「まあ、そうですね。失敗することは許容すべきことだと頭ではわかっているんですが、妻子を路頭に迷わすことは避けたいですからね。冒険のようなチャレンジはしたくないですし。10年後とかに、ある程度お金が溜まってから考えればいいかなとも思っているんですよ」
ショウ「そうか、それはマモルの人生だから、俺がああだこうだは言えないな。でも、小林一三氏の言葉で俺も肝に銘じているものがある」
マモル「小林一三氏って、あの阪急阪神東宝グループの創業者のですか? 曾孫が松岡修造氏ですよね」
ショウ「そうだな。小林一三氏は、『金がないから何もできないという人間は、金があっても何もできない人間である』と言った。それに感銘を受け、事業を拡大するに際して、必要に応じて融資を受けているよ」
マモル「融資か…… 本当に自分の人生の目的が見つかって、それを達成したいのであれば、融資を受けるぐらいの覚悟は必要ってことなんですね」