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名言集コラム17 「ヘンリー・ウォード・ビーチャー氏に学ぶ・人を許す態度とは」

※これは独立したての経営者であるマモルと先輩経営者のショウの物語です。

 

 

 

ショウ「マモルから食事に誘ってもらうのは、久しぶりだな」

 

マモル「いつも気にしていただいているのに、ご無沙汰していてスミマセン」

 

ショウ「いや、いいよ。こういった時間がとれるようになったってことは、経営にも余裕がでてきたことの証だろ? ホッとしたよ」

 

マモル「というか、余裕が無さ過ぎて…… 先輩からアドバイスをいただけたらと思いまして」

 

ショウ「なんだよ、まだ従業員との関係がうまくいっていないのか」

 

マモル「先輩のおかげで、以前よりかは、仕事の分担や報・連・相も順調には進んでいるんです。育成にもある程度時間を避けるようになりましたし」

 

ショウ「かなり改善されているな。他に杉山くんのどこに問題があるんだい?」

 

マモル「それが、杉山じゃなくて、橋本さんの方なんです」

 

ショウ「ああ、マモルよりも年上で経験豊富なベテランの従業員か。何かトラブルがあったのか?」

 

 

マモル「顧客からかなり大きなクレームがあったんです。それで僕も直接謝罪しに相手方まで出向きました。橋本さんは自分が正しいという思いが強すぎて、クライアントのリクエストを無視するところがあるんです。それで相手方も怒ってしまって」

 

ショウ「業務改善コンサルティングか。クライアントの企業にもこだわりや、譲れない部分があるだろうからな。正論でも受け入れられないケースはあるよ」

 

マモル「やり方の問題もあるんだと思います。橋本さんは、一方的に話を進めていく傾向が強いんで、上手く折り合いがつけられなかったようです。そのやり方は強引過ぎるだろうと」

 

ショウ「本人は反省してないのか?」

 

マモル「最初は、クライアントを目の前にしても激しく抵抗していましたけど、最終的には謝罪して非を認めています」

 

ショウ「そうか。で、請け負った仕事は? 担当の変更は要求されただろう」

 

マモル「キャンセルになりました。七割ほど進んでいたんですが。ここまでの時間や人件費を考えると、かなりの痛手ですね。ここを成功させて評判を作ろうとしていたんで」

 

ショウ「確かに痛手だな。だけど、橋本さんも反省を活かして取り組もうとしているんだろう?」

 

マモル「以前に先輩から本田宗一郎氏の話をうかがっていたんで、僕も成功するための失敗にしていこうと励ましています。橋本さんは表情にあまり見せませんが、ショックを受けているようで、変わろうとはしている様子もあります」

 

ショウ「であれば、それは立派な前進だよ。そう割り切って次に向かうしかないだろう」

 

マモル「まあ、そうなんですけど……」

 

ショウ「なんだ、マモルは橋本さんのことを許していないのか?」

 

マモル「もちろん許しましたよ。ただ、次のクライアントの依頼を任せても、同じトラブルが起こるんじゃないかと不安になってしまって。これ以上、ネガティブな評判が積み重なると、依頼もこなくなってしまいそうで」

 

ショウ「そうか。マモルの気持ちもわかるよ。俺も似たようなことはあったからな。ただ、許して一緒にビジネスを続ける以上は、忘れることも必要だ」

 

 

マモル「先輩は忘れるようにしているんですか?」

 

ショウ「うちの顧問税理士のアドバイスでね。アメリカの社会改革者のヘンリー・ウォード・ビーチャー氏の言葉を教えてもらったよ」

 

マモル「ぜひ、僕にも教えてください。なかなか気持ちの整理ができないんです」

 

ショウ「彼は『許すことはできるが、忘れることができないというのは、結局、許すことはできないというのと同じだ。取り消した契約書は、ふたつにちぎって焼き捨てられ、もはや永久に人の目に触れることはない。人を許す態度もこうあるべきだ』と語っている。成功するためにどんな改善が必要なのかを考えることは大事だが、過去に捉われ過ぎると前に進めないぞ」

 

 

 

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