※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
今回のポイントは、『自己成長を加速させる方法』になります。
ショウ「こうしてマモルとゆっくり夕食をとるのも久しぶりだな」
マモル「いつも気にかけていただき、アドバイスいただいていることへのささやかな感謝の気持ちです」
ショウ「じゃあ、遠慮なくお寿司を握ってもらおうか」
マモル「どうぞ。この店はネタが新鮮なので、とても人気があるんです」
ショウ「それは楽しみだな。時に、外部委託するっていう従業員育成の件はどうなったんだ?」
マモル「ええ。自社のホームページをリニューアルした時と同じように、アウトソーサーの担当者と話し合いながら、最も効果があるような形式で導入することを決めました」
ショウ「企業コーチングか?」
マモル「そうですね。ただ、集団相手のコーチングでは効果が低いだろうということで、1対1の対話式のコーチングでいきます」
ショウ「橋本さんが本気で変わりたいと思っているのであれば、かなり効果があるだろう。コーチングには専門性のあるアドバイスはまったくないからな。あくまでも自己対話を促進するための質問とクライアントの話を傾聴することに、コーチは専念する。だからこそクライアントは自分で自分の内側にある問題に気づき、その解決策を自分で考えるんだ。自主性は高まるし、目標も明確になりモチベーションも上がるだろう。間違いなく自己成長は加速するよ」
マモル「橋本さんは、自分と向き合うことが怖いとも話していました。ただ、こういう機会がなければ永遠に向き合うことはないだろうとも」
ショウ「見たくない自分を見ることになる。ただ、そこに価値を見出せるようになれば、橋本さんの本質が変わるよ。新しい視点を持てる。これまで何も感じなかったことに対しても感謝の気持ちを持つことができるだろう。きっと相手を敬うことで良好なコミュニケーションもできるようになる」
マモル「そうなると最高ですね」
ショウ「ドイツの詩人であるローガウ氏は、
『己自身と闘うことこそ、
もっとも困難な戦いであり、
己自身に打ち克つことこそ、
もっとも素晴らしい勝利だ』
と語っているが、まさにその通りだろうな」
マモル「僕にそれだけの人材育成力があればいいのですが」
ショウ「何も経営者がすべて担当する必要はないだろう。効果的な仕事をしてくれる専門家はいるんだから。そこに任せてしまった方が経営者の時間も確保されるし、橋本さんの育成も成果が出る。コーチングを依頼するコスト以上のメリットはあるはずだ」
マモル「そうですね。僕もコーチングを受けてみたほうがいいでしょうか? 先輩という名コーチがいるんですが……」
ショウ「ハハハ。俺はアドバイスしたがりでね。コーチング向きじゃないんだよ。どちらかと言うとティーチングだな。ちょうどいい機会だからマモルもコーチングを受けてみたらどうだ? 経営者向けのエグゼクティブコースもあるだろう」
マモル「僕にも効果はありますか?」
ショウ「上昇志向の強い人ほどコーチングは効果があるぞ」
マモル「上昇志向ですか……」
ショウ「アメリカの小説家で、ヘミングウェイ氏に並ぶ巨匠と呼ばれている
ウィリアム・フォークナー氏を知っているか?」
マモル「作品はわかりませんが、ノーベル文学賞を授与されている方ですよね」
ショウ「そうだ。彼の言葉に、
『常に大きな視野を持ち、
自分ができることより、
さらに高い目標を持ちなさい。
競争相手や先駆者に優ろうと
思うだけではだめです。
あなた自身を
超えるよう努力するのです』
というのがある。そのためにもぜひコーチングを受けてみることをおすすめするね」
マモル「わかりました。その時間もまた経営者として必要な時間ということですね。僕も挑戦してみます」