※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
マモル「お待たせしました。先輩、お久しぶりですね」
ショウ「お久しぶり? 前回マモルに会ってから6日しか経過してないぞ?」
マモル「6日? 言われてみるとそうですね。もう1ヶ月以上経っているような感覚でした・・・・・・」
ショウ「まあ、いい。とにかく席について、ランチを食べながら話をしよう。その感じじゃかなり苦労しているみたいだからな」
マモル「ええ。率直にお答えすると、そうですね」
ショウ「睡眠や食事はどうだ? そこは大丈夫か?」
マモル「睡眠が疲労回復にとって一番大切だと先輩からうかがっていますから、7時間は眠るようにしています。朝食もしっかり食べてから出社していますので、身体的な疲労はかなり軽減できているかと」
ショウ「運動や昼寝は? 毎日継続していくだけでも体調や集中力はまったく変わるぞ」
マモル「さすがに現状としては、そこまでの余裕は難しいですね・・・・・・」
ショウ「運動も昼寝も15分でいい。そこも確保すべきだぞ」
マモル「わかりました。万全の状態で毎日仕事に向き合えるように心がけます。どうやら、よっぽど心配していただけているようですね」
ショウ「まあ、・・・・・・そうだな。あのふたりの手強さは身をもって知っているんでな。どうだ? 順調か、という質問は酷なんで、予想と比べてどうだ?」
マモル「予想以上です」
ショウ「そうか。そうだろうな」
マモル「先輩、そうだろうな、は少し無責任な発言じゃないですか?」
ショウ「悪い、悪い。そこまでマモルに余裕がなくなるとは考えていなかったよ。いったいどのあたりが問題になっているんだ?」
マモル「そうですね。どこから話せばいいのか…… 結論からお伝えすると、ふたりはまったく働けていない状態です。というか、そこにかかりっきりになってしまって、僕も、新婚旅行に行くために仕事を引き継ぎたい杉山や木梨さんも、時間と労力を費やしているので、全体の生産性は確実に低下しています」
ショウ「初動がたいへんなのは何事も同じだからな。自転車もペダルのこぎ出しが一番力がいるし、疲れる。しかし、進み始めるとペダルも軽くなって、スイスイ進めるようになるというものだ」
マモル「確かにそうですね。橋本さんや杉山が従業員として加わってくれた時も、最初がたいへんでしたから」
ショウ「まあ、1ヶ月は無料レンタル期間なんだから、まずはじっくり職場の環境に慣れてもらうことだろう。1ヶ月もすればあのふたりも勝手がわかってくるさ」
マモル「だといいんですが、木梨さんは心配して新婚旅行の時期を半年ずらそうかと相談に来ました」
ショウ「半年か…… なるほど、それはよっぽど不安視しているな」
マモル「実際のところ、6日経過して、僕もなぜふたりがまったく機能しないのか、よくわかっていないんです。頭を悩ましているところですね」
ショウ「顧問税理士は何かアドバイスをくれたかい?」
マモル「ええ。苦笑いを浮かべていましたが、アルトゥル・ショーペンハウアー氏の言葉を引用されてアドバイスしてくれました」
ショウ「なるほど。ゲーテに高く評価されたドイツの哲学者だな。
『船というのは、
荷物をたくさん積んでいないと、
不安定でうまく進めない。
同じように人生も、
心配や苦痛、苦労を背負っているほうが、
うまく進めるものである』
って言葉だろう?」
マモル「はいそうです。根本的な解決策ではありませんが、おかげで少なくともポジティブな気持ちで問題解決に向き合おうと思えることができました」