※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
ショウ「マモルお疲れさん。どうやらお互いに今は自宅のようだな。そっち会社の状態はどうだ?」
マモル「先輩、お疲れ様です。顧問税理士さんとも何度も相談したんですが、ひとまず5月頭までは全員出社はせず、テレワークにしました。従業員が少人数ということもあり、Zoomは使わず、SkypeでWeb会議を毎日、定時に行っています。Zoomは脆弱性の問題が指摘されているので、クライアントとの打ち合わせもすべてSkypeで対応しています」
ショウ「それでうまいこと説明したり、プレゼンしたりできているのか?」
マモル「急遽外部委して研修を行いまして、ある程度は使いこなせているかなとは思いますね。Lonely ScreenのアプリでこちらのiPadの画面をミラーリングしてSkype上で共有できます。One Noteだと資料の貼付けやリンクも簡単ですし、iPadだとApple Pencilで簡単に手早く書き込めるので、実際に対面で説明するよりも逆にわかりやすくなっているって評判はいいです。その場で打ち合わせして書き込んだ資料も常に共有できますから、メール配信したり、FAXしたり、確認したりといった無駄な時間は省けていますね」
ショウ「そうか。問題なく現状に対応できているんだな、それはよかった」
マモル「そうですね。顧問税理士さんに、外部委託してでもすぐに対応できる態勢を整えるべきだと指摘していただき、アウトソーサーも紹介していただいて、なんとか間に合った感じです。もたもたしているとクライアントも離れていってしまうので、助かりました。実際に始めてみて、これは本格的に取り入れていくべきだなという点も見つかったので、アフターコロナの際にはいい意味で会社の仕組みがかなり変わっていそうです」
ショウ「さすがここまでいろいろ困難を乗り越えてきただけあって、前向きな発想と行動力だな」
マモル「いえいえ、これも先輩や顧問税理士さんに日ごろからアドバイスしていただいているおかげです。改めて感謝申し上げます。対応していると、もうお先真っ暗と落ち込んでいるクライアントも多いですからね。そういったクライアントは不安ばかりが日増しに募っていって、動きが鈍くなっているのがとても気になります。嘆くより、今できることは他にもまだあるはずなんですが」
ショウ「そうだな。俺もそういった悪循環に陥っているケースはよく見かけるよ。そういったクライアントには、新しい視点に気づかせてくれるマモルのような存在は貴重だろう。真言宗の開祖である空海氏は著書の性霊集でこう述べている。
『心暗きときは、
即ち遭う所
禍(わざわい)なり、
眼明らかなれば、
即ち途に触れて
皆宝なり』
とね」
マモル「弘法大師のお言葉ですか…… なにか難しそうですね。遭うところ禍ですか」
ショウ「まあ、落ち込んでいるときは、見るものすべてに不安を感じてしまうということだな。だからこそ悪循環になって、さらに絶望してしまうんだろう。難しいことなのかもしれないが、穏やかな心で見れば、また違った一面が見えて、得るものもある。心を閉ざしている間はそういったことには気がつかないものだ」
マモル「確かにそうですね。自分たちはまずクライアントの不安を少しでも取り除いて、穏やかな心にしていきつつ、その後に将来に向け希望に満ちた提案をしていかなければなりませんね。焦ってこちらの提案ばかりを押しつけないよう、明日のWeb会議でみんなと共有します」