※経営者として独立して間もないマモルが、先輩経営者ショウから成功に繋がるアドバイスを受けて成長していく物語です。
マモル「先輩とこの店で一緒に料理を食べるのは久しぶりですね。やっぱりこの店のパスタは絶品です!本当に美味しい!」
ショウ「ということは、マモルは最近、この店を利用していなかったわけか」
マモル「そうですよ、外出自粛期間、この店はずっとクローズしていましたからね。先輩だってこの味は久しぶりじゃないですか?」
ショウ「いや、俺は毎週何度か食べていたぞ。確かにこうやって席に着いて食事をすることはできなかったが、テイクアウトのサービスは昼間時だけやっていたんだよ」
マモル「パスタのテイクアウトですか? そうだったんだ…… まったく知らなかったです」
ショウ「やはりこの店のパスタを食べたいというお客さんが多くいてな、オーナーからどうしたらいいのかと相談があったんだよ。それでテイクアウトの話を勧めたのさ」
マモル「それはそうですよね。どうにかして売上を出さないと、家賃の支払いも苦しくなりますし、人件費だってかかりますからね。そういった努力は必要になるんだな」
ショウ「まあ、大事なクライアントということもあるが、俺もこの店のパスタは好きだからな。どうすれば売上が出せるのかという店側の視点というより、この店のパスタがどうしても食べたいというお客様の視点でアドバイスしたんだよ。そして、そういったニーズに応えられるように、メニューや容器、時間帯や価格設定まで工夫を凝らしたんだ」
マモル「それで、結構売れたんですか?」
ショウ「そうだな、予想以上の売れ行きだったよ。実際、こうしてお店の中で食事ができるようになっても、テイクアウトは続けているぐらいだからな」
マモル「本当だ。メニューにそう書いてありますね。気づかなかったです」
ショウ「まだこの状況だと、店に入って食事をすることに抵抗がある人もいるのさ。店内も換気を頻繁にして、テーブルや椅子もアルコール消毒して充分に注意しているから、必要以上に心配することはないんだけどな」
マモル「そうか、お客様も大勢いるから、みんな待ちに待って、久しぶりに食べに来ているのだろうと思っていました。実はテイクアウトで食べていたのか」
ショウ「今回のテイクアウトのサービスを始めて、さらに客層は広がったようだな。独りで食べたい時も気軽に買いに来られるのが良かったのかもしれない。時間帯を決めて、量を限定して作っていたから単価も安く抑えられたのも、お客様には喜ばれた要因のひとつだろう」
マモル「そうでしたか。それで以前よりも人気になっているのか…… 完全予約制で、今日のこの時間帯もようやく予約できたくらいですからね」
ショウ「何が成功のきっかけになるのかはわからないものさ。ただ、アメリカの教育者であるデール・カーネギー氏は、ビジネスの成功についてこう述べている。
『ビジネスで成功する一番の方法は、
人からいくら取れるかをいつも考えるのではなく、
人にどれだけのことをしてあげられるかを考えることである』
とね。まさにこの店のサービスは、その模範なんじゃないか。この外出自粛ムードが高まっている中でも、美味しいパスタを食べたいというお客様の要望に応えようとしたんだからな」
マモル「なるほどなー。今回の先輩のコンサルもまさにそれですね。ご自身の利益よりも、この店とこの店のお客様のために何をしてあげられるのかを考えています。先輩のビジネスが成功しているのも同じ理由なんですね。やっぱり実践するためには相談する相手が重要か。でも、できたら僕にもテイクアウトのサービスやっていることを教えてほしかったです……」