【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】
長かった夏休みもようやく終了。9月からは2学期スタートとなる。
心配された中学3年生の部活引退組みのモチベーションも、個別面談を実施し、話を聞き、目標を改めて確認することで回復の兆しが見えてきた。深刻だったのはほんの一部の生徒で、これは夏期講習会前に塾生全員に学習面談を行っていた効果があったと考えられる。
このように手厚いサポートに対して、講習会参加生も好感を持ってくれたため、入会希望者も10名となった。25名の講習会参加生から10名の入会は、実に入会率40%。これはなかなか頑張った結果と言えるだろう。学生アルバイト講師を増やし、企業理念を共有し、さらに生徒アンケートをとって講師陣のやる気アップに繋げた取り組みが、良い影響を及ぼしたことは間違いない。
これで2学期スタートの塾生数は、中学1年生が2→7名、中学2年生は変わらず2名のままだが、中学3年生が18→23名、オンライン生3名と、塾生数が35名まで増えた。月の売上は712,000円。日本政策金融公庫への返済が毎月38,000円、賃貸料が10万円、人件費が15万円から20万円ほどに膨らむが、光熱費を差し引いてもかなりの黒字化になってきている。
早速この状況を顧問税理士の天海さんに報告した。
「途中いろいろあったものの、予想以上に順調にきておるのー。
失敗から学ぶことも大切じゃが、
こういった成功体験をしっかり記録して、
今後に活かしていくことも重要じゃぞ」
「そうですね。この夏期講習会に関してはいろいろなことにチャレンジしました。中学1年生の塾生数を増やすために夏期講習会前に行った保護者会も実を結びましたよ! おかげで中学1年生は3倍以上の塾生数になりました。こういったウィークポイントを克服できた点も嬉しいですね!」
「2学期スタートの早い段階から
目標達成に向けて計画を立案し、
精力的に動いておったからの。
はじめさんの
その失敗を恐れず動いた成果じゃろう。
放射線の研究でノーベル賞を受賞したキュリー夫人もこう言っておった。
『行動なき計画は
消え去る夢に過ぎない』
とな。フットワーク軽く、どんどん行動していけるのは、はじめさんの一番の長所かもしれんぞ」
「そう言っていただけるのは光栄ですね。しかし、天海さんのアドバイスや、学生アルバイト講師たちの協力があったからこその結果ですので、とても感謝しています」
「逆に気になることはないのかな?」
「そうですね、中学3年生の懸念材料だった燃え尽き症候群の症状は回復してきていますので、後は中学2年生を増やしていくことでしょうか。中学受験の小学生も増やしていきたいですね」
「その辺りが2学期の目標になってきそうじゃの。何か他にもありそうな表情しておるが」
「えーと、そうですね。これは自分ごとの心配ではあるのですが、生徒アンケートの結果で、満足度含め総合的には塾長の私が一番数値的には良かったのですが、学生アルバイト講師の石川がかなり肉薄していまして、項目によっては負けているんです。彼女には生徒を惹きつける力がかなりあるので、私も負けていられないなと刺激を受けています」
「それはぜひ卒業後は正式な職員として迎え入れるべきじゃな。よそに持って行かれると大変な損害になるぞ」
「脅かさないでくださいよ、天海さん。石川の時給は上げます。授業数も増やして、より戦力になってもらう予定です。成長速度が凄いですから、今後の活躍も期待大ですね」