2024年も早くも3月中旬。
春期講習会のスタート目前だ。
期間の短い春期講習会が終われば、すぐに新学期スタート。
この時期は塾業界にとって1年の計であり、次年度が成功するかどうかが決まる正念場。
例年はドキドキハラハラしながらこのときを迎えていたのだが、今年はまったく別の心境だった。
それは、塾生数が間違いなく昨年数を大きく上回る確信があるからだ。
春期講習会は短いため、それ以前の体験会や説明会、事前の三者面談で一般生の入会意志はほぼ決まる。
今回の春期講習会に申し込んでくれた一般生は31名。
その中ですでに新年度から塾生となる手続きを進めているのがなんと10名。
春期講習会中にさらに入会者は増えるので、最終的にオンライン部門と合わせて塾生数は50名を上回るはずだ。
昨年の新年度の売上は月492,000円。
それが今年は1,500,000円となる計算になる。
実感はまだないが、計算上では売上は昨年比3倍強となるのだ。
もちろん人件費はそれに伴って上がってはいる。
昨年が15万円だったのが、リモートワークの講師を雇うことになったり、貢献してくれた学生アルバイト講師の時給アップで40万円強にはなる。
それを差し引いても大きなプラスを生み出していた。
教室も上のフロアも借りることになり、家賃は20万円となったが、日本政策金融公庫への返済額毎月38,000円も含めまったく問題ない状態である。
売上アップだけではなく、さらに経営に自信を持てている要因があった。
石川や酒井をはじめとした学生アルバイト講師一同は、この成果で大きな自信をつけ、今まで以上に熱意を持って、笑顔で指導に打ち込んでくれている。
それを見ていると生徒たちはさらにやる気になって勉強に向き合ってくれるようになり、家庭からの信頼度も増す。
講師と生徒のそのような頼もしい姿を見ているとさらに私が勇気づけられた。
「これって最高の好循環ではないだろうか」
なまじ苦労してきただけにこの事態をなかなか真正面から受け止められない。
上手くいきすぎているのが逆に不安になった。
そのことを顧問税理士の天海さんに話してみると、
「確かに理想的な好循環じゃの。今はその流れに乗ってどんどん突き進んでいくといい」
「いつの間にかこのような好循環になっていたんです。ちょっとびっくりですね。山あり谷ありの中をただただ夢中にやってきただけなのですが・・・・・・」
「経営も、仕事も、以前より楽しく感じられるようになっているじゃろうな」
「そうですね、最初は教えるのが好き、できるようになって喜ぶ生徒の笑顔を見るのが楽しかったのですが、今ではさらにこの仕事が面白く感じられるようになっています」
「一時経営破綻した日本航空の再建に大きく貢献した実績を持つ実業家の稲盛和夫氏の言葉にこうある。
『好きになればどんな苦労も厭わず、
努力を努力と思わず、
仕事に打ち込めるようになる。
仕事に打ち込めるようになれば、
おのずと力もついていく。
力がつけば必ず成果を生むことができるようになる。
成果が出れば周囲から評価される。
評価されればさらに仕事が好きになる。
こうして好循環は始まるのです』
とな」
「好きになることから好循環というものは始めるのですね。生徒の勉強にも同じ事が当てはまります。新しい発見や知識が面白く感じて勉強が楽しくなると、成績も学力も大きく伸びます」
「そうじゃな、
だからこそ好きな仕事を求めるよりも、
与えられた仕事を好きになることから始めよ
と言われておる。もちろんはじめさんたちのように、この仕事が好きだというところから始まっていると好循環になりやすいのじゃろうな」