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税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』 「起業って何から始めればいいのか㊲ 初めての確定申告に向けての準備:開業届」

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

今回のポイント
 開業届のメリット 

 

 

確定申告という言葉は聞いたことがあったが、実際に行ったことは一度もない。これまでは大手進学塾の講師を務めていたので、所得税も保険料も給料天引きだったからだ。年末には事務に年末調整の書類を提出するぐらいで、内容も年間に支払った生命保険料や地震保険料などを記入する程度。それすらかなり面倒に感じていたほどである。

 

なので、天海さんに事務所に呼ばれ、確定申告の話を聞かされたのには驚いた。今は冬期講習会前の大事なタイミングで正念場だ。ここから3学期に向けての頑張りによって、来年度の塾生数は大きく変わってくる。うまくいけば塾生数を伸ばすこともできるが、気を緩めれば一気に激減する可能性もあるだろう。紹介制度を導入してこの時期に5人もの塾生を増やすことには成功したが、だからといって楽観視できる状態ではない。これまで以上に指導や対応に集中したいところである。正直、確定申告の話をのんびり聞いている場合ではなかった。

 

 

「MFに登録していただいてたいへん助かりました。他に要件がないようでしたら、今日はこのへんで失礼しようかと・・・・・・」

 

「まあ、そう焦らずに、お茶でもゆっくり飲んでいきなさい」

 

「はあ、それではいただきます。実は11月下旬にも定期試験があり、その範囲表が公開されたところでして、そちらの対応が急務だなと思っています。ここで入塾した5人の成績を伸ばしてアピールできれば、冬期講習会募集の大きな材料になります」

 

「そうじゃの。わしもはじめさんにはなるべく事務に関わる時間を割き、業務に専念してもらいたいと思っておる。しかし個人事業主になった以上は、確定申告についての知識と、そこに向けた準備は必要不可欠。ここから4月の新学期スタートまで怒濤のような日々になるじゃろうから、その前に一度確認しておきたいのじゃよ」

 

「売上や経費についてのこと以外でまだ必要な項目があるのですか?」

 

「そうじゃの、では、はじめさんは青色申告については知っておるか?」

 

青色申告? どこかで聞いたことがあるような気がするが、何だっただろうか。そういえば、確定申告には色が決まっていたような、いないような・・・・・・ 青色以外にも赤や緑などの申告があるのだろうか?

 

 

その表情を見て察したのか、返答を聞かずに天海さんは言葉を続けた。

 

白よりも青色申告の方が

 

メリットは大きい。

 

できれば青色申告したいところじゃが、そのためには2つ必要な物がある」

 

話を聞いていて起業時に同じような説明を受けたことを思い出してきた。しかし、必要な物は何だっただろうか?

 

「ひとつは青色申告承認申請書、もうひとつは開業届じゃ。

 

どちらも事業を開始した日から

 

2ヶ月以内に申請しなければ、

 

その年の青色申告はできん

 

事業開始から2ヶ月・・・・・・ 完全に過ぎている。

 

「天海さん、だったらその話はもっと前にしていただかないと! 今更遅いじゃないですか・・・・・・ ということは、今年は白色申告ということなんですか?」

 

「じゃから、そう焦らずに聞きなさい。安心せえ、どちらも事業開始直後に提出済みじゃ。

 

青色申告は65万円控除もあるし、

 

損失を3年間繰越出来るので、

 

青色申告の届け出を出しておくメリットは大きい。このあたりのことはもうすっかり忘れておるじゃろうから、再確認しておるんじゃよ。申告書を見ないとイメージが付かないと思うので、この辺はまた確定申告の際に説明するかのう」

 

「開業届ってそんなに大事なものだったんですね。天海さんに前もってアドバイスいただき、実践できていてホッとしました」

 

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