コラム



税理士がサポート!『はじめて起業ものがたり』「起業って何から始めればいいのか 120 突発的なトラブルを対応するにはバッファを持つスケジューリングが重要」

 

今回のポイント
 タスクを詰めすぎない 

 

【このお話では、サラリーマンを続けていた40歳の松平はじめが、起業に挑戦し、税理士からアドバイスを受けて、成果を出すための大切な気づきをいろいろと得ていきます】

 

 

2023年も7月を迎え、いよいよ今年も折り返し。

後半戦緒戦となるオンラインレッスンの無料体験会では、参加した8名が全員入会するという快挙を達成した。

担当したのは私の他、石川が4名、酒井が2名で、最後に酒井の残り1名の入会が決まったときには教室が私たち3人の歓声に包まれた。

顧問税理士の天海さんから、改めて日々の生活習慣の見直しについてアドバイスを受け、朝食、運動、睡眠を改善したことで、私も気力が満ちてきている。

その勢いもあって今までにない歓喜の絶叫を上げることができた。

 

 

7月から一気に塾生数が8名増えた。

しかもオンラインレッスンなので客単価も高い。

この入会によって少なくても月の売上は20万円もアップしており、生徒によってはさらにコマ数を増やして月謝5万円というケースも出てきたので売上はまだ伸びそうだ。

個別指導部門と併せると月の売上は80万円を突破した。

4月スタートの赤字状態がまるで嘘のように、夏期講習会前に目標達成したのである。

 

ただし、問題の人手不足については、新人の学生アルバイト講師の研修中だが解決には至っていない。

なにせオンラインレッスンは完全にマンツーマンなので、オンライン生11名にかなりの時間と人員を割く必要があった。

頼みの石川と酒井がフルでシフトに入ってくれているからギリギリ回っているが、綱渡り状態だ。

私も夕方16時から晩の22時まで個別指導とオンラインレッスンを担当をし、平日だけでなく、土曜・日曜も埋まっていた。

こうなるとまったく余裕がなく、他の業務には手を付けられない。

午前中は夏期講習会の準備、午後に生徒や一般生の個人情報をCRMに入力して整理したり、石川や酒井の入力した内容を確認など共有するのに時間が取られる。

 

 

「ほう、それでここ最近連絡がなかったわけじゃな」

 

昼間の休憩時間を利用して、顧問税理士の天海さんに電話した。

オンライン生が全員入会したことを一刻も早く報告したかったからだ。

天海さんも喜んではくれたが、それ以上に心配げだった。

 

「そうなんですよ。1ヶ月のタスク管理を細かくしていますが、ほとんどバッファ(スケジュールの余裕)が確保できない状態です」

 

「それは問題があるの。

 

タスクを詰めすぎると、

 

何かあったときに

 

対処する時間が無くなってしまう。

 

何かトラブルが起こったときに

 

対応が遅くなり、

 

被害を拡大してしまうリスクがある

 

急用に対応できる時間をスケジュールに設けておくことは重要じゃ」

 

「そうですね、確かに不安です。特に石川と酒井のスケジュールにしっかりバッファを作っておかなければ、次々へとタスクに追われてしまって気持ちが焦り、メンタル面での負担も大きくなってしまいそうです。もう一度バッファ管理を検討してみた方がいいですね」

 

「就活で忙しくシフトに入れていない学生アルバイト講師陣にもう一度声をかけて、可能な限り働いてもらったほうがいい。そうすればはじめさんだけでなく、2人の負担も軽減されるじゃろ。ドイツの哲学者であるショーペンハウアー氏の言葉には、

 

時はよく用いるものには親切である

 

というものがある。今後、より発展していくためには、時間を上手に役立てて使う意識が大切じゃな」

 

「仕事が忙しいのは嬉しい悲鳴ですが、一歩間違えると、評判を大きく下げてしまう危険性もありますね。時間的な余裕が作れるように、みんなに声をかけてもう一度シフトの見直しから始めてみます」

 

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