4月を迎え、怒濤の如き忙しさが終わると共に2024年度は始まった。
昨年の11月がはるか昔に思えるほど内容の濃い4ヶ月間。
中学受験に向けた対策や志望校面談、高校受験に向けた対策ゼミ、冬期講習会や春期講習会の募集活動に入会活動、新年度の準備・・・・・・ まさに三面六臂で仕事をこなしてきたのだが、一端そこからすべて解放されることになる。
肩の荷も下り、ゆっくり休んで自由をかみしめることができる時期が到来したのだ。
そんな感慨に浸っていたのもつかの間のこと、私は風邪をひき、体調を壊した。
あれだけバタバタした日々の生活の中、常に高い緊張感を持って過ごしていたのが、急に緊張が緩んでしまい蓄積された疲労が表に出てきたのだろう。
体温計を測ると熱は39度。
大人になってここまで高熱を発した記憶はない。
少し前に顧問税理士の天海さんから、勝ち続けているときは油断大敵だとアドバイスを受けていたのだが、体調面については注意してこなかったのが悔やまれる。
新年度スタートの塾生数が、昨年25名だったところが今年はなんと58名。
この快進撃に心が躍り、毎晩かなりお酒を飲んで睡眠時間が短くなってしまっていたことが免疫力低下の大きな要因だろう。
インフルエンザなどの検査はすべて陰性だったので、単なる風邪だと思うのだが、さすがにこの高熱で仕事はできない。
まったく頭が回らないので、この状態で無理してレッスンしてもボロボロミスが出るだろう。
特に体調面や精神面が大きく反映される算数・数学は危険だ。
2日あれば風邪を治す自信はあった。
そのため今日・明日は学生アルバイト講師筆頭の酒井・石川に職場をまとめてもらわなければならない。
アルバイトではあるが、両名共にそれだけの経験は積んでいるし、マネジメントも心得ている。
私の体調について話を聞いて心配した天海さんが電話をくれた。
症状だけでなく、こうなってしまった原因も話をすると、天海さんは呆れたような声で、
「生活習慣の大切さ、特に睡眠の重要性については以前から口酸っぱく伝えておいたはずじゃがの」
「申し訳ないです。忠告されていたのにも関わらず、ついつい羽目を外してしまいました」
「よいか、睡眠も大切な自己管理の一環じゃから、睡眠不足は仕事ぶりに大きな影響を及ぼす。
1日5時間睡眠を1週間続けると、
疲労回復に必要なテストストロンという
男性ホルモンの分泌率が15%低下する。
これはブリュッセル自由大学のレイチェル・レプラトウ氏の研究結果じゃ」
「5時間の睡眠時間では不足ということですね」
「カーネギー・メロン大学とピッツバーグ大学メディカルセンターの共同研究では、
7時間の睡眠をとっている人が
風邪にかかる確率17.2%に対して、
5時間以下の睡眠では
45.2%と風邪にかかる確率が高まる
ということじゃ」
「この3ヶ月、5時間以下の睡眠の日が多かったので、その影響が気を緩めた今来たのかもしれませんね。まずはしっかりと寝て治して、4月からは生活習慣に注意しながら過ごしていくようにします。私も若くはないので、昔のような生活習慣は自粛します」
「それがいいじゃろう。経営者として長く続けていくにしても、日ごろの生活習慣は重要じゃ。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究結果で、
睡眠時間が長いほど、
アスリートの選手としてのキャリアが長くなる
ことが判明しておるぞ」
「せっかくたくさんの生徒に集まってもらったのに、体調を崩して指導者がいないのでは信用度もがた落ちですからね・・・・・・ 浮かれすぎていた点を猛省します!」
「健康への投資は大切な仕事のひとつ
ということを忘れぬようにな」